ナポレオンジダイノハンザイ

ナポレオン時代の犯罪

ジャン・チュラール 著
辻谷泰志 訳

発売日 2024/05/23

判型 A5判   ISBN 978-4-336-07551-2

ページ数 264 頁   Cコード 0022

定価 3,520円 (本体価格3,200円)

【内容紹介】

ナポレオンの統治について人々が記憶にとどめているのは、国境の外の戦争だけである。
あたかもフランス自体は逆に安らぎの場でしかなく、国内では住民は散発的に起こる経済危機にもほとんど痛手を負うことなく、平穏な生活を送っていたかのようだ。

しかし、ナポレオンの治下において、暴力はいたるところにあった。殺し屋と短刀使いが我が物顔で振る舞う都市、盗賊と脱走兵の一団が縦横に動きまわる農村、密売人の輸送隊が通る山岳と河川地帯──。
判事、警官、憲兵、税関吏に体現されたナポレオンの秩序に、カール大公やクトゥーゾフよりも恐ろしい軍隊が立ち向かった。つまり犯罪者の軍勢である。民法典、大改革、レジョンドヌール勲章によって統治された社会に、殺人者、泥棒、 贋金造り、盗賊、密売人、陰謀家の世界、無法者の世界が対立していた。

本書はナポレオン自身が狙われた「サン=ニケーズ通りの仕掛け爆弾」事件、「短剣の策謀」をはじめ、バルザックの『暗黒事件』にインスピレーションを与えた「元老院議員クレマン・ド・リの誘拐」など数々の犯罪をも取り上げて詳細に分析。栄光のナポレオン時代、その実態を明らかにした好著。

【著者紹介】

ジャン・チュラール

歴史家。パリ・ソルボンヌ大学名誉教授。フランス学士院会員。ナポレオン、映画史等に関連する著書を多数出版。

辻谷泰志 (ツジヤヤスシ)

1949年生まれ。立教大学大学院文学研究科フランス語フランス文学専攻修士課程中退。2022年11月永逝。
 訳書:ルネ・ゲルダン『フランソワ一世』、セルジュ・ブリュソロ『闇夜にさまよう女』、ミシェル・カルモナ『マリ・ド・メディシス』(三作とも国書刊行会)。