ユウレイキタン
幽霊綺譚
ドイツ・ロマン派幻想短篇集
ヨハン・アウグスト・アーペル/フリードリヒ・ラウン/ハインリヒ・クラウレン 著
識名章喜 訳
発売日 2023/07/24
判型 A5判・函入 ISBN 978-4-336-07520-8
ページ数 440 頁 Cコード 0097
定価 6,380円 (本体価格5,800円)
【内容紹介】
ドイツの古城、
妖精の森へようこそ
『フランケンシュタイン』「吸血鬼」を生んだ——そのきっかけの書。
幽霊の花嫁、妖精の女王、死の舞踏、魔法の鏡、七里靴……
初期英国ゴシックがドイツの深い森の伝説と結びつき、中世を再発見しドイツ・ロマン派となり花開く。
1816年夏スイス・レマン湖畔——
バイロン卿、ジョン・ポリドリ、のちのシェリー夫妻らが無聊をなぐさめるために思いついたのは、本書の仏語版『ファンタスマゴリアーナ』の朗読。
大いに震撼させられた4人は、一篇ずつ怪奇譚を書こうと思いつく……。
いわゆる「ディオダティ荘の怪奇談義」である——
かくして、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』とポリドリ「吸血鬼」が生まれ、ゴシックの本場英国に逆輸入される。
『ファンタスマゴリアーナ』に収録された作品を中心に、ドイツ語原書から、オペラで名高い「魔弾の射手」など厳選の恐怖小説を加えた15篇。
グリム兄弟と同時代、E.T.A.ホフマンにも影響を与えた伝説の幽霊アンソロジーの全貌が明らかに。
美麗函入り。
【著者紹介】
ヨハン・アウグスト・アーペル (ヨハン・アウグスト・アーペル)
Johann August Apel 1771-1816
ドイツの小説家、劇作家。1771年ライプツィヒにて市長の息子として生まれる。ライプツィヒ大学、ヴィッテンベルク大学で法律、哲学、自然科学を学ぶ。弁護士のかたわら、シラーに傾倒して戯曲を発表。音楽通で韻律研究に従事。1801年ライプツィヒの市参事会員。文学史上の主業績は『韻律論』全2巻(1814/16)、小説家としては本書『幽霊の書(幽霊綺譚)』全5巻(1810-15)で知られる。
フリードリヒ・ラウン (フリードリヒ・ラウン)
Friedrich Laun 1770-1849
ドイツの娯楽作家。1770年ドレスデンの銀行家の息子として生まれる。ライプツィヒ大学で法律を学ぶ。ドレスデンの『夕刊新聞』の編集者を経て、ザクセン王国の経済局秘書官などを務めるかたわら、ビーダーマイアー期の娯楽作家として200点に及ぶ長・短篇小説、詩などを残す。一躍有名になったのは本書『幽霊の書(幽霊綺譚)』にて。後継アンソロジーである『不思議の書』全3巻(1815-17)をフケーらと手がけた。
ハインリヒ・クラウレン (ハインリヒ・クラウレン)
Heinrich Clauren 1771-1854
本名カール・ゴットリープ・ザムエル・ホイン。北ラウジッツ、ドブリルク生まれの娯楽小説作家。プロイセンで実務官僚の道を歩み、ベルリンでは宮中顧問官にまで昇進した。そのかたわら、感傷的でエロチックな大衆好みの作風で一世を風靡し、プロイセンの士官とベルンの大農場主の娘との恋の物語『ミミリー』(1816年)の大成功によって、ホフマンと人気を二分したと言われる。
識名章喜 (シキナアキヨシ)
ドイツ文学者。1956年東京都生まれ。1979年東京大学文学部ドイツ文学科卒、1984年同大学院博士課程単位取得退学。慶應義塾大学商学部、文学部教授を経て、現在、同大学名誉教授。ドイツ語圏SFについても著述。主な翻訳に、R. ザフランスキー『E. T. A.ホフマン――ある懐疑的な夢想家の生涯』(法政大学出版局、1994)、J. ヘルマント『理想郷としての第三帝国――ドイツ・ユートピア思想と大衆文化』(柏書房、2002)、フケー『水の精』(光文社古典新訳文庫、2016)など。