ベル・エポック怪人叢書 1-下
ジゴマ
ジゴマ 下
レオン・サジ 著
安川孝 訳
発売日 2022/07/22
判型 四六変型判 ISBN 978-4-336-07356-3
ページ数 512 頁 Cコード 0397
定価 3,520円 (本体価格3,200円)
- シリーズ: ベル・エポック怪人叢書 (ベルエポックカイジンソウショ)
- 【全3巻・4冊】 エッフェル塔が建ち、地下鉄が走るフランス黄金期―― ベル・エポックの世に怪人たちが跋扈する! 強盗・殺人お手のもの、 三面記事をにぎわす悪のアイコンを集成。 華やかなりし新聞連載小説時代の めくるめくベストセラー活劇。 完訳・初訳のダークヒーロー犯罪小説! ★第1回配本 2022年7月刊行予定 レオン・サジ『ジゴマ』上・下、(安川孝訳) ★第2回配本 2022年9月刊行予定 ガストン・ルルー『シェリ=ビビの最初の冒険』(宮川朗子訳) ★第3回配本 ピエール・スヴェストル、マルセル・アラン『ファントマと囚われの王』(赤塚敬子訳) 「ベル・エポックとは「美しい時代」という意味で、1900年の万博に象徴されるように、フランスの19世紀末から20世紀初頭を指す。当時のフランスには、世界でも破格の100万部前後の発行部数を誇る新聞が四紙もあり、その紙面を飾ったのがしばしば犯罪をテーマとする連載小説である。美しい時代は、犯罪者や悪党がうごめく不安な時代でもあった。〈ベル・エポック怪人叢書〉は、この時代を代表する作品を収めた魅力的なシリーズ。同時期のルブランが創造した怪盗ルパン以上に裏社会で暗躍する恐るべき、時として悲劇的な、そしてつねにカッコいいダークヒーローが登場して、息もつかせぬ物語が展開する。大衆文学とあなどるなかれ! 作者は当時最新の科学、医学、テクノロジーの知を駆使して、社会の闇と民衆の秘めた欲望をあぶりだす。現代人でもあっと驚くような技術や、状況の反転が利用される(詳細は読んでのお楽しみ!)。そしてこれらの作品は、誕生してまもない映画の題材にもなった。時代の感性と鋭敏に共鳴し、その後の大衆小説の流れに大きく影響した作品群の邦訳は、まさしく快挙である」小倉孝誠(フランス文学・文化史)
【内容紹介】
〈ベル・エポック怪人叢書〉創刊! 第1回配本
覆面姿の怪人ジゴマ!!
おまえは誰だ? ジゴマ!
覆面姿の怪人ジゴマ!!
パリ黄金期のベル・エポックに
国際的犯罪組織Z団降臨!
血の海に短刀一閃、発見されしはモントルイユ銀行家。
残されたるは金庫の血痕Z……
ジゴマ率いるZ団vs.ポーラン・ブロケ刑事の
全面抗争の火蓋が切られた!
パリの地下坑道アジトに響く、忠誠の合言葉─
「ザラヴィ!(Z、生きている限りは!)」
「ザラモール!(Z、死ぬまでは!)」
明治末から大正初年の本邦映画公開時に
空前の“ジゴマ・ブーム”を巻き起こした
フランス新聞連載小説の伝説的大ヒット作!
江戸川乱歩の怪人二十面相に影響を与えしダークヒーロー
久生十蘭の抄訳から幾星霜、ついに待望の完訳!
犯罪は文学を刺激し、大衆の欲望を満たす。
【ストーリー】
パリを震撼させたル・ペルティエ通りの惨劇――短刀一閃! モントルイユ銀行家が血の海に重傷で発見された。駆けつけたるは敏腕ポーラン・ブロケ刑事長、その金庫の血痕にZのサインを読み取った(Zは怪人ジゴマの印である!)。ここにジゴマ率いるZ団vs.ポーラン・ブロケ刑事の全面抗争の火蓋が切って落とされた! 銀行家はド・ラ・ゲリニエール伯爵を犯人として告発。しかし対質した途端供述を翻し、こと切れる。悲嘆に暮れる息子たち……父の変節の謎を追え! 剣による果し合い、恐ろしき拷問機械、ペスト菌を宿した蚊による殺人トリック、お針子リリーとのロマンス……。Z団のメンバーすらその覆面姿の奥の素顔を知らぬジゴマとはいったい誰なのか?
〈ベル・エポック怪人叢書〉
エッフェル塔が建ち、地下鉄が走る黄金期フランス――
ベルエポックの世に、怪人たちが跋扈する!
強盗、殺人お手のものの悪のアイコンを集成。
ベストセラー、ダークヒーロー犯罪小説!
「美しい時代」の怪しいヒーローたち――――小倉孝誠
ベル・エポックとは「美しい時代」という意味で、1900年の万博に象徴されるように、フランスの19世紀末から20世紀初頭を指す。当時のフランスには、世界でも破格の100万部前後の発行部数を誇る新聞が四紙もあり、その紙面を飾ったのがしばしば犯罪をテーマとする連載小説である。美しい時代は、犯罪者や悪党がうごめく不安な時代でもあった。〈ベル・エポック怪人叢書〉は、この時代を代表する作品を収めた魅力的なシリーズ。同時期のルブランが創造した怪盗ルパン以上に裏社会で暗躍する恐るべき、時として悲劇的な、そしてつねにカッコいいダークヒーローが登場して、息もつかせぬ物語が展開する。大衆文学とあなどるなかれ! 作者は当時最新の科学、医学、テクノロジーの知を駆使して、社会の闇と民衆の秘めた欲望をあぶりだす。現代人でもあっと驚くような技術や、状況の反転が利用される(詳細は読んでのお楽しみ!)。そしてこれらの作品は、誕生してまもない映画の題材にもなった。時代の感性と鋭敏に共鳴し、その後の大衆小説の流れに大きく影響した作品群の邦訳は、まさしく快挙である。
第2回配本
ガストン・ルルー『シェリ=ビビの最初の冒険』(宮川朗子訳)
第3回配本
P.スヴェストル、М.アラン『ファントマと囚われの王』(赤塚敬子訳)
【著者紹介】
レオン・サジ (レオン・サジ)
Léon Sazie(1862-1939)
仏領アルジェリア・オラン生まれのフランス人作家。演劇の脚本書きで大成せずも小説家になり、新聞連載小説『ジゴマ』で大ヒットを飛ばす。以降シリーズ化され、『ジゴマ』(1909-10 年)、『赤銅色がかったブロンド髪の女』(1910 年)、『ウナギの皮』(1912 年)、『ドイツに与するジゴマ』(1916年)、『歪んだ口』(1917年)、『ジゴマ対ジゴマ』(1924 年)、『ジゴマの新たな悪事』(1938年)の全7作を執筆。小説としては75篇を書いた。1911 年、日本で映画『ジゴマ、強盗の王』が公開されると少年たちにジゴマごっこが大流行、ついに上映禁止となる爆発的人気となった。抄訳に久生十蘭訳『ジゴマ』。
安川孝 (ヤスカワタカシ)
1978年生まれ。明治学院大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士課程中途退学後、2013年フランス・リモージュ大学博士号取得(文学)。専門は19世紀とベル・エポックの大衆小説。現在、 明治学院大学、東洋大学ほか非常勤講師。著書に『フランス大衆小説研究の現在』(宮川朗子、市川裕史との共著、2019年、広島大学出版会)。