チュウイカンポウ ショウヤクダイジテン

中医・漢方 生薬大事典

陳士林/林余霖 主編
正山征洋 監修
吉田祥子 翻訳

発売日 2022/09/16

判型 A4判   ISBN 978-4-336-07351-8

ページ数 688 頁   Cコード 0547

定価 41,800円 (本体価格38,000円)

【内容紹介】

専医・非医483生薬の産地・薬材の特徴・製法・薬効等について、2千枚に及ぶ豊富なカラー写真とともに詳細に解説する画期的事典。

《本書の特徴》
●中医薬・漢方薬として使用される483もの生薬を和名五十音順に配列し、オールカラーの写真とともに詳細に解説した生薬事典。日本薬局方(173品目)の3倍近くという、圧倒的な種類の生薬を収載。
●生薬ごとに、1)主要産地、2)基原植物(原料になる植物)、3)伝統的採集加工方法、4)薬材の特徴、5)標準的修治法(製法)、6)飲片の特徴、7)性味と効能、8)用量と用法について詳述。すべての生薬に対し、基原植物、薬材、飲片の写真をオールカラーで付す。
●日本語版では、監修者によるオリジナルの植物解説を加筆。基原植物和名索引も完備し、生薬の基原を知る植物図鑑としても活用できる。健康食品、機能性表示食品等に含まれる植物由来の成分を理解し、把握するうえでも極めて有用。
●索引は、基原植物和名索引に加え、基原植物学名索引、各生薬の簡体字表記の画数別索引を付して、専門的な論文等ともリンクできるようにした。また専門外の読者向けには、「植物用語解説」および「中医薬用語解説」を付し、その便に供するつくりとした。
●研究者、薬剤師、薬学部学生、漢方薬局・薬店、医師、健康食品企業・食品関連企業関係者などの専門家だけでなく、中医・漢方薬に興味のある一般読者まで幅広く活用できる、図書館必携のレファレンス。

《監修者の言葉》
生薬理解の中心に据えるべき参考書/正山征洋(九州大学名誉教授、長崎国際大学名誉教授・特任教授)

 本書は、『中国薬典』(国家医薬品管理監督部門が医薬品品質と使用の安全性、品質管理のため定める医薬品法典。『日本薬局方』に相当)に収載される483品目の生薬をオールカラーの写真付きで詳細に解説した事典です。『日本薬局方』に収録されている生薬は173品目ですので、本書の掲載数は実にその3倍近くになります。
 本書の最大の特徴は、日本では入手出来ない生薬に関わる情報を満載していることでしょう。まず品目ごとに生薬形態の写真が掲載されています。例えば人参の項を見ますと、13種に及ぶ生薬形態の写真が網羅されており、日本では絶対に見る事が出来ない大変貴重な生薬標本を垣間見ることができます。
 修治についても大変詳しく示されています。加熱処理一つを見ても、炒る方法で仕上げた炒生薬、強く炒って部分的に炭化する程度まで加熱する炭生薬、また、酢、酒、蜜、麩、羊脂、塩、ミョウバン等で処理したもの、さらには生薬類、例えば生姜、甘草、呉茱萸、黒豆汁等で処理するもの等、日本ではほとんど知られていない修治方法が示されています。修治の違いによる薬効の違いも記されており、中医学の懐の深さを感じることができましょう。
 厚生労働省による食薬区分では、生薬は専医と非医に二分されます。非医は医薬品ではなく、健康食品、機能性表示食品等の原料になり得る生薬で、本書ではこの非医に属する生薬も多く取り上げられています。健康食品、機能性表示食品の市場規模が伸び、我々一人ひとりが正しく素材を吟味し、認識する必要性が出てきている現状にあって、中国における長い歴史に裏打ちされた事実に基づく本書は強いサポーターとなると考えます。
 生薬の基原を理解する上で最も重要なのは学名で、本書では生薬の学名もよく吟味され正しく記述されております。学名をキーワードとすることで、含有成分、安全性、臨床データ等に関する論文など、色々な領域における知見を読者の皆様ご自身で思いのままに探索いただくことも可能でしょう。本書を十全に活用頂くことで、日本における中医学や漢方の生薬に対する理解がさらに深まることを念じています。

【著者紹介】

陳士林 (チンシリン)

中国中医科学院中薬研究所所長、教授。中国教育部の「長江学者奨励計画」および「イノベーション・チーム発展計画」採択チーム責任者、『中国中薬雑誌』『薬学学報』『Chinese Herbal Medicines〔中草薬、英語版〕』副編集長。「絶滅危惧薬材繁殖育成国家工程実験室」主任および中国薬学会中薬・天然薬物専門委員会主任委員を兼務。これまでに、中国医学科学院薬用植物研究所所長、WHO伝統医学協力センター主任、米国薬局方中国伝統医薬諮問グループ顧問を歴任。主な編著書に『中薬DNA条形碼分子鑑定〔DNAバーコーディングによる中薬材料の同定〕』『中国薬材産地生態適宜性区画〔中国における薬材産地の生態適合性地域〕』などがある。

林余霖 (リンヨリン)

中国医学科学院薬用植物研究所研究員。長年にわたり薬用植物の古典的分類と生薬の鑑別に従事。1983~1987年に厦門(アモイ)大学生物学科、1993~1995年に協和医科大学で学び、生薬学修士号を取得。その後イギリス、スイス、台湾で専門的訓練を受けた。1999年に国際標本管理技術訓練プログラムに参加、英国王立植物園が交付する認定証「An International Diploma in Herbarium Techniques」を取得し、同植物園の中薬材同定センター建設に寄与した。学術論文30編余りを発表し、主な編著書に『中華人民共和国薬典中薬材及原植物彩色図鑑』『中国薬材図鑑』『中薬速認図集』『中草薬大典』『中草薬採取手冊』などがある。

正山征洋 (ショウヤママサヒロ)

1943年大連市生。マサチューセッツゼネラルホスピタル博士研究員、九州大学薬学部教授、部長、名誉教授、長崎国際大学薬学部教授、日本生薬学会会長、世界中医藥学会連合会副会長を歴任。現在長崎国際大学薬学部名誉教授、同特任教授。主研究領域:大麻研究、サフラン研究、薬用成分に対するモノクローナル抗体作成と応用研究、生薬の活性成分研究、薬用植物のバイオ研究。

吉田祥子 (ヨシダヨシコ)

翻訳家。NPO法人日中翻訳活動推進協会認定上級翻訳士、中国同時代小説翻訳会会員。主な翻訳・著書に『論説体中国語読解練習帳』全4巻(共著、東方書店)、『たくさんキクヨム中国語』(共著、コスモピア)、『図解 現代中国の軌跡』シリーズ(科学出版社)より「中国政治」(共訳)・「中国国防」(翻訳)、月刊誌『月刊中国ニュース』(アジア太平洋観光社)記事翻訳、『小説導熱体』(白帝社)作品翻訳、など多数。