オカルトタロットノレキシ

オカルトタロットの歴史

1870-1970年  

ロナルド・デッカー/マイケル・ダメット 著
今野喜和人 訳

発売日 2022/02/18

判型 A5判   ISBN 978-4-336-07277-1

ページ数 592 頁   Cコード 0010

定価 5,940円 (本体価格5,400円)

【内容紹介】

タロットの秘儀化はいかにして生まれ、いかにして解体し、さらに広い文化的事象へと展開していったのか?――黄金の夜明け団やアレイスター・クロウリーによるタロットの扱い、現代において最も流通している「ウェイト=スミス版タロット」の誕生にまつわる経緯など、日本でも関心が高い主題を取り上げ、基本的には遊戯用のカードに過ぎなかったタロットが18世紀末以降、古代以来のありとあらゆる神秘思想を担う図像の集成となり、また人間の運命を見通す占いの道具となっていった歴史を、世界各地で活動したタロティストたちの人生と思想、社会の動きを織り交ぜながら興趣あふれる筆致で描き出した決定的大著。

【目次より】
◆第Ⅰ部 西洋オカルティズム
  第0章 序論
  第1章 国際的刷新
  第2章 イギリスの継承者たち
◆第Ⅱ部 秘密にされた混合主義(シンクレティズム)
  第3章 ルクソールのヘルメス同胞団
  第4章 〈黄金の夜明け〉が始まる
  第5章 〈黄金の夜明け〉の輝き
  第6章 〈黄金の夜明け〉にかかる雲
  第7章 〈黄金の夜明け〉の屈折
◆第Ⅲ部 教義の開示
  第8章 ウェイトのタロットと秘密の教義
  第9章 秘密のチーフたちとクロウリー=ハリス版タロット
  第10章 〈黄金の夜明け〉は微光を放ち続ける
◆第Ⅳ部 東に向かうタロティズム
  第11章 スイス
  第12章 ドイツ
  第13章 ロシア
◆第Ⅴ部 様々な学派、様々な規則
  第14章 C・C・ザインと〈光の教会〉
  第15章 ナップおよびホールと彼らのタロット
  第16章 ケースと〈アディトゥムの建設者たち〉
  第17章 ブライトン夫妻と〈MANS聖修道会〉
  第18章 リンドとその信奉者たち
  第19章 ガレス・ナイトと〈光の侍従会〉
◆第Ⅵ部 大衆のための神秘
  第20章 イーデン・グレイとウェイト=スミス版タロット
  第21章 古い観点への新たな焦点

【著者紹介】

ロナルド・デッカー (ロナルドデッカー)

1943年ニューヨーク州のウェルズヴィルで生まれる。ニューヨーク州立大学バッファロー校卒業。次いでオハイオ州のシンシナティ大学で絵画を学び、修士号取得。様々な学校で美術と芸術史を教える。1986年から2002年まで、当時オハイオ州ノーウッドにあったUSプレイング・カード社でアンティーク・カードのキュレーターを務め、世界中の初期タロットを研究。The Esoteric Tarot(『秘教タロット』)(2013)など、タロットの歴史およびシンボリズムに関する著作4点を執筆もしくは執筆協力。

マイケル・ダメット (マイケルダメット)

1925年ロンドン生まれ。オックスフォードのクライストチャーチ・カレッジを最優秀の成績で卒業し、1979年から1992年までオックスフォード大学で論理学を講じる。アメリカのハーバードやプリンストンなどからも招聘され、1999年にはナイトの称号を得る。分析哲学の大家として知られ、関連著作多数。一方、余技として始めたタロット研究の分野でも第一人者と見なされるようになる。タロットゲームに関する大著The Game of Tarot(1980)の他、通史的には本書の前編にあたるA Wicked Pack of Cards, The Origins of the Occult Tarot(『邪悪なカードデッキ――オカルトタロットの起源』)をロナルド・デッカーおよびフランスのタロット研究家ティエリー・ドゥポーリスとの共著で1996年に発表している。2011年、オックスフォードで没。

今野喜和人 (コンノキワヒト)

1954年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、静岡大学名誉教授。専攻、比較文学比較文化。
著書に、『啓蒙の世紀の神秘思想――サン=マルタンとその時代』(東京大学出版会、2006)、訳書に、[ルイ=クロード・ド・サン=マルタン]『クロコディル――一八世紀パリを襲った鰐の怪物』(国書刊行会、2013)、イーヴリン・アンダーヒル『神秘主義』(ナチュラルスピリット、2016、共訳)、オズヴァルド・ヴィルト『中世絵師たちのタロット』(国書刊行会、2019)、ジャン゠クリストフ・リュファン『永遠なるカミーノ』(春風社、2020)、他多数。