ピーター・シスノヤミトユメ
ピーター・シスの闇と夢
ピーター・シス 画
柴田元幸 対談・訳
赤塚若樹/ジャン=ギャスパール・パーレニーチェック/小野寛子/ヤナ・チェニュコヴァー/岡本梓/柴田勢津子 執筆
発売日 2021/10/01
判型 B5横判 ISBN 978-4-336-07266-5
ページ数 216 頁 Cコード 0071
定価 2,750円 (本体価格2,500円)
【内容紹介】
重い歴史と、軽やかな想像力。
厳しい現実と、飄々としたユーモア。
いま・ここを生きることと、ここではないどこかを夢見ること。
拮抗する要素が豊かに高めあい、美しい絵物語に結実する。
ようこそ、ピーター・シスの闇と夢の世界へ。
—柴田元幸
共産党統治下のチェコスロヴァキア(現チェコ共和国)に生まれ、自由を求めてアメリカに亡命した絵本作家、ピーター・シス(1949– )。『三つの金の鍵ー魔法のプラハ』や『かべー鉄のカーテンのむこうに育って』の代表作をはじめ、幼い子どもたちへ向けた絵本、広い世界を旅した英雄への憧れを込めた物語、ダーウィンやガリレオなど抑圧に屈することなく意志を貫いた偉人たちの伝記絵本など、繊細で詩的な表現で人々を魅了する。世に送りだした30冊以上の絵本は、国際アンデルセン賞や、三度のコールデコット・オナー賞など、数々の絵本賞も受賞している。
本書は、絵本原画をはじめとして、国際的な評価を得たアニメーションの原画、新聞雑誌の挿絵、地下鉄や空港など公共の場のためのアートプロジェクトなど、シスの作品を幅広く収録。影から光へとたどってきたシスが人生をかけてつむいだ、闇と夢が織りなす作品たちを紹介する。
【著者紹介】
ピーター・シス
1949年、チェコスロヴァキアのブルノ生まれ。プラハ工芸美術大学とロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学ぶ。新聞、雑誌、書籍のほかに、アニメーションの分野でも幅広く活躍。ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞、ボローニャ国際絵本展金賞、コールデコット・オナー賞など、数々の賞を受賞。日本では『三つの金の鍵ー魔法のプラハ』『かべー鉄のカーテンのむこうに育って』『マドレンカ』『星の使者―ガリレオ・ガリレイ』などが翻訳出版されている。
柴田元幸 (シバタモトユキ)
翻訳家。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザーなど現代アメリカ小説の翻訳多数。主な訳書にマーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒けん』(研究社、2017年)、スチュアート・ダイベック『シカゴ育ち』(白水Uブックス、2003年)、エドワード・ゴーリー『うろんな客』(河出書房新社、2000年)。主な著書に『ケンブリッジ・サーカス』(新潮文庫、2018年)。文芸誌『MONKEY』(スイッチ・パブリッシング)責任編集。
赤塚若樹 (アカツカワカギ)
東京都立大学教授。著書に『シュヴァンクマイエルとチェコ・アート』(未知谷、2008年)、『ミラン・クンデラと小説』(水声社、2000年)、編訳書に『チェコ・アニメーションの世界』(人文書院、2013年)、『シュヴァンクマイエルの世界』(国書刊行会、1999年)、訳書にV・ネズヴァル
/ J・シュティルスキー『性の夜想曲―チェコ・シュルレアリスムの〈エロス〉と〈夢〉』(風濤社、2015年)、V・ネズヴァル『少女ヴァレリエと不思議な一週間(風濤社、2014年)などがある。
ジャン=ギャスパール・パーレニーチェック
プラハ、パリ、東京で活躍する展覧会キュレーター、詩人、作家、翻訳家。 パリ・チェコ文化会館の副所長を務めていた2014年には「ピーター・シス」展を手がけた。詩集をはじめとする自著のほか、「クプカ展」(2018年、グラン・パレ)などの翻訳にも携わる。日本では「ミュシャと日本、日本とオルリク」展(2019–20年)にも協力。2021年夏、欧州のコミック作家とコラボレーションした「Iogi 井荻」展は、チェコセンター東京を皮切りに杉並区立郷土博物館などを巡回している。
小野寛子 (オノヒロコ)
練馬区立美術館主任学芸員、2008年より同館勤務。専門は、フランス近代美術史。担当した主な展覧会は、「鹿島茂コレクション1 グランヴィル―19世紀フランス幻想版画展」(2011年)、「アルフレッド・シスレー展―印象派、空と水辺の風景画家―」(2015年)、「19世紀パリ時間旅行―失われた街を求めて―」(2017年)、「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」展(2018年)、「ショパン―200年の肖像」展(2020年)など。
ヤナ・チェニュコヴァー
カレル大学社会学部教授。哲学博士。チェコペンクラブ会員。チェコ文学史のジャンルで批評や出版にたずさわり、なかでも児童書の歴史と批評、イラストレーションを専門とする。2006年から2017年まで国際児童図書評議会IBBYのチェコ支部会長、現在もチェコ文化省図書出版委員会委員などを務める。共著に『チェコにおける二つの世界大戦間の雑誌』(2017年)などがあるほか、カレル・ヤロミール・エルベンのチェコ民話を再編。出久根育の挿絵により、日本でも『命の水』として邦訳が出版された。
岡本梓 (アカモトアズサ)
伊丹市立美術館学芸員(主査)。専門は近現代美術。担当した主な展覧会は、「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」(2016年)、「O JUN×棚田康司 “ 鬩”」(2017年)、「ソール・ライター展」(2018年)、「エルンスト・クライドルフ展」(2019年)、「熊谷守一 わたしはわたし」(2020年)、「アーノルド・ローベル展」(2021年PLAY! Museumから全国巡回)など。著書は『ウィリアム・ホガース “ 描かれた道徳” の分析』(2016年)、『ジョージ・クルックシャンク―スケッチブック・オムニバス』(2019年)。
柴田勢津子 (シバタセツコ)
展覧会プロデューサー。株式会社イデッフ代表。一橋大学社会学部卒業後、ルーブル美術館学院などで美術史および芸術社会学を学ぶ。企画会社で展覧会の企画に携わったのち、
2001年にイデッフを設立。手がけた展覧会に、「チャペック兄弟とチェコ・アヴァンギャルド」(2002–03年)、「フランスコミック・アート展」(2003年)、「造形と映像の魔術師 シュヴァンクマイエル」(2005年)、「ポーランド写真の100年展」(2006年)、「話の話 ロシア・アニメーションの巨匠ノルシュテイン&ヤールブソワ」(2010年)、「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」(2016年)、「チェコ・デザイン100年の旅」(2020年)、「ゆかたと藍の世界」(2021年)などがある。