ミナマタビョウジケンヲタビスル

水俣病事件を旅する

MEMORIES OF AN ACTIVIST  

遠藤邦夫 著

発売日 2021/08/17

判型 四六判   ISBN 978-4-336-07226-9

ページ数 320 頁   Cコード 0095

定価 2,530円 (本体価格2,300円)

【内容紹介】

「水俣病」とは何だったのか。高度経済成長を続ける昭和30年代の日本に現れた影の部分。病状だけをとって正しく言えば「メチル水銀中毒症」であったことが今ではわかっている。なぜ「水俣病」という呼び名をもつことになったのか。「水俣病事件」として捉えなおすことで、地方都市水俣の状況、背景をとおして、当時の「日本」の様子が見えてくる。
「できる限り感情を排して事実に即して述べます……ただ事実と意見と主観的解釈を織り交ぜた物語を構成して、読者の誤読を意図的に導く方法は極力排します。水俣病事件の事実を拾い集めてそれを自分自身に照らし合せて、従来の水俣病事件に関わる見識を一つひとつ洗い直します」と著者がいうとおり、その立場からの見方は極力排されている。たまたま水俣にたどり着いた「通りすがりの旅行者」としての著者の目には、「未曽有の大事件」が曇りなく歪みなく映し出される。水俣病事件の「過ち」は過去の出来事ではなく、現代日本の陰画(ネガ)でもある。
本書は、現在の日本と過去の日本をつなぎ、「地方」「国」のありかたを問い、「水俣病事件」という負の遺産が、未来への知的財産となりうることを示す。

【著者紹介】

遠藤邦夫 (エンドウクニオ)

水俣病センター相思社元常務理事。多くの職業を経たのち、1987年に自給自足型のフリースクール水俣生活学校(1992年閉校)で学び、水俣病センター相思社職員となる。2003年、相思社常務理事。2015年、理事。現在株式会社ミナコレ研究員。