シャシンノミヤコモノガタリ

「写真の都」物語

名古屋写真運動史 1911-1972  

竹葉丈 編著

発売日 2021/02/08

判型 B5判   ISBN 978-4-336-07198-9

ページ数 291 頁   Cコード 0072

定価 4,180円 (本体価格3,800円)

【内容紹介】

1920年代日本における絵画主義の時代様式を築き上げた日高長太郎と〈愛友写真倶楽部〉。1930年代後半の美術界を席巻したシュルレアリスム(超現実主義)やアブストラクト(抽象美術)の影響を受け、自らの精神を写真で表現しようと前衛写真を展開したフォト・アヴァンギャルディストたち―。名古屋では戦前からさまざまな写真家が、ときに写真団体を結成しながら、全国でも有数の優れた展開を成した。
戦後には、リアリズム運動と主観主義運動が鎬を削るように展開し、さらに1950年代に名古屋出身の写真家・東松照明によって〈中部学生写真連盟〉が組織されると、名古屋はやがて学生写真と学生運動の中核となる。その流れは全国に波及し、公害を告発するキャンペーン写真集『この地上にわれわれの国はない』や、戦争の傷跡をたどる『ヒロシマ・広島・hirou-simə』などの写真集として結実する。
本書では「写真の都」名古屋を中心に、写真表現の変遷を、複数の人々が出会い意気投合して生まれ出たもの、そして共通した目的と方向を共有した「運動体」として捉え、写真が社会的あるいは時代的要請にどのように応じたかを検証する。全国の高校生・大学生による、1960年代の激動の時代を活写する写真など、初公開資料も多数収録。資料としても貴重な一書。

【著者紹介】

竹葉丈 (タケバジョウ)

1961年生まれ。名古屋市美術館学芸員。現代美術、写真( 史)に関する調査、展覧会企画に携わる。主な企画展覧会に、『名古屋のフォト・アヴァンギャルド』(1989 年)『異郷のモダニズムー淵上白陽と満洲写真作家協会』(1994年)『ジェームズ・タレルー夢のなかの光はどこからくるのか?』(1997年)『THE HISTORY OF JAPANESE PHOTOGRAPHY』(2003年、The Museum of Fine Arts, Houston, The Cleveland Museum of Art)『河口龍夫ー
見えるものと見えないもの』(2007年)『写真家・東松照明全仕事』(2011年)、「異郷のモダニズムー満洲写真全史」(2017年)など。主な編著書に『日本の写真家6 淵上白陽と満洲写真作家協会』(共著、1998年、岩波書店)『コレクション日本シュールレアリスム3  シュールレアリスムの写真と批評』 (2001年、本の友社) など。2018 年、展覧会「異郷のモダニズム―満洲写真全史」ならびに同展図録出版(2017年、国書刊行会)により、日本写真協会学芸賞、第30回写真の会特別賞を受賞。