新しいマヤの文学

コトバノモリビト

言葉の守り人

ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ 著
エンリケ・トラルバ 画
吉田栄人 訳

発売日 2020/06/18

判型 四六変型判   ISBN 978-4-336-06566-7

ページ数 224 頁   Cコード 0097

定価 2,640円 (本体価格2,400円)

シリーズ: 新しいマヤの文学 (アタラシイマヤノブンガク)
メキシコのユカタン・マヤの地で生まれた、マヤ語で書かれた現代文学。これまでほとんど紹介のなかった、代表的なマヤ文学の書き手たちによる作品を厳選、《世界文学》志向の現代小説、マヤの呪術的世界観を反映したファンタジー、マジックリアリズム的な味わいの幻想小説集を、日本の読者に向けて初めて紹介する、全く新しいラテンアメリカ文学シリーズ、ついに刊行開始!

【内容紹介】

「ぼく」はある時、祖父のグレゴリオおじいさんに呼ばれ、マヤの伝承の語り手たる〈言葉の守り人〉に選ばれた。
おじいさんに連れられて、「ぼく」は神々と精霊たちが棲まう森へ、夜ごと修行に出かけるようになる。
不思議な鳥たちとの邂逅、風の精霊の召喚儀式、蛇神の見せる夢と幻影の試練……「ぼく」は森の中で不思議な体験をしながら、おじいさんから〈言葉の守り人〉を継ぐために必要な、世界と言葉のもつ秘密を少しずつ教わっていく。
現代マヤ語文学を代表する作家ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチによる、神話の森を舞台に少年が受ける通過儀礼と成長を描いた、呪術的マヤ・ファンタジー。

挿画=エンリケ・トラルバ

【著者紹介】

ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ (ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ)

小説家、詩人、教師。1952年、メキシコ合衆国カンペチェ州カルキニ市に生まれる。カルキニの文学サークル「ヘナリ」創設者の一人。2002年から2005年にはメキシコ先住民作家協会の会長を務める。詩の朗読によって米国ニューヨークなどの文学フェスティバルで詩人賞を受賞(2016年)。同年には南北アメリカ先住民文学賞を受賞。主な著作には『おじいさんの秘密』(2001年)、『言葉の守り人』(2012年)、『金の涙――ここではマヤ語を使うな!』(2013年)などがある。

エンリケ・トラルバ (エンリケ・トラルバ)

イラストレーター、デザイナー。1969年、メキシコ合衆国ゲレロ州チラパ市に生まれる。メトロポリタン自治大学卒業。ハイパーリアリズムを特徴とする。雑誌や書籍の挿絵以外にも、ポスターやアニメーションなども手掛ける。2000年から子供向け図書の挿絵を中心に描く。パリやケベックなど外国で開かれたブックサロンでメキシコを代表するイラストレーターとして参加。メキシコ・イラストレーター協会(Asociación Mexicana de Ilustradores)創設者の一人。

吉田栄人 (ヨシダシゲト)

東北大学大学院国際文化研究科准教授。1960 年、熊本県天草に生まれる。専攻はラテンアメリカ民族学、とりわけユカタン・マヤ社会の祭礼や儀礼、伝統医療、言語、文学などに関する研究。主な著書に『メキシコを知るための60 章』(明石書店、2005 年)、訳書にソル・ケー・モオ『穢れなき太陽』(水声社、2018 年。2019年度日本翻訳家協会翻訳特別賞)。