ドコカアンシンデキルバショデ

どこか、安心できる場所で

新しいイタリアの文学  

パオロ・コニェッティ 他著
関口英子/橋本勝雄/アンドレア・ラオス 編
飯田亮介/中嶋浩郎/越前貴美子/粒良麻央 訳

発売日 2019/11

判型 四六変型判   ISBN 978-4-336-06539-1

ページ数 328 頁   Cコード 0097

定価 2,640円 (本体価格2,400円)

【内容紹介】

エーコ、タブッキ、カルヴィーノだけじゃない、
もっと新しいイタリアの文学がここにある。
本邦初、21世紀イタリア短篇アンソロジーがついに登場!
13人の作家(うち11人が日本初紹介)による15の物語。
序文=小野正嗣

現代イタリア文学と聞いて思い浮かべるのは、エーコ、タブッキ、カルヴィーノ、ブッツァーティ、モラヴィア……しかし彼らがおもに活躍していたのは前世紀のこと。では、イタリアの文学は衰退したのかといえば、とんでもない、なぜこれまで紹介されてこなかったのか不思議に思える作家たちが山ほどいるのだ。本書はいまを生きる新しいイタリアの作家によるヴァラエティ豊かな作品を厳選した、本邦初の21世紀イタリア短篇アンソロジーである。普通の人々の生活に降りかかる移民・格差・人種問題、新しいセクシャリティのかたち、めくるめく幻想の世界、そして甘くほろ苦い少年少女時代の記憶――現在のイタリア文学シーンを代表する13人が繊細に大胆に鮮烈に描く多様性にみちた15の短篇を収録。巻末に各作家・作品を詳述する解説を附す。

 〈『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』は、文学というレンズあるいはマイクを通して、21世紀のイタリアの諸側面を伝えてくれる。ここに読める作品はほぼ同時代に書かれたという点を除けば、それぞれ主題も文体もまったく異なっている。本書だけからでも、イタリア文学の「いま」がどれほど多様で豊かなものであるかがたしかに感じ取れる。これを機会に、ここに紹介された作家や他の作家たちの作品が翻訳されることを切望する。僕たちには海外の文学を読むことが必要なのだ。イタリアの「いま」を描く、あるいはイタリアで「いま」書かれているこれらの作品を読むことで、それをいわば鏡にして、日本の僕たちは自分自身の姿を見つめ直し、自分が生きる「いま」がどのようなところなのかを確認することができるからだ〉(序文より) 小野正嗣

【著者紹介】

パオロ・コニェッティ (パオロコニェッティ)

関口英子 (セキグチエイコ)

埼玉県生まれ。大阪外国語大学イタリア語学科卒業。イタリア文学翻訳家。おもな訳書に、イタロ・カルヴィーノ『マルコヴァルドさんの四季』(岩波少年文庫)、プリーモ・レーヴィ『天使の蝶』(光文社古典新訳文庫)、カルミネ・アバーテ『風の丘』(新潮社)、ロベルト・サヴィアーノ『コカイン ゼロゼロゼロ』(河出書房新社)などがある。ルイジ・ピランデッロ『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』(光文社古典新訳文庫)で、第一回須賀敦子翻訳賞受賞。

橋本勝雄 (ハシモトカツオ)

栃木県生まれ。京都大学大学院博士後期課程単位取得退学。京都外国語大学教授。専門はイタリア現代文学。おもな訳書に、マッシモ・ボンテンペッリ『鏡の前のチェス盤』(光文社古典新訳文庫)、ディエゴ・マラーニ『通訳』(東京創元社)などがある。ウンベルト・エーコ『プラハの墓地』(東京創元社)で、第二回須賀敦子翻訳賞受賞。

アンドレア・ラオス (アンドレアラオス)

1968年イタリア生まれ。フランス国立東洋言語文化大学博士課程修了(日本文学)。詩人、翻訳者。訳書に、イタリアと日本の現代詩選集 『地上の歌声』 (思潮社)、Charles Reznikoff, Olocausto (Benway Series) などがある。

飯田亮介 (イイダリョウスケ)

神奈川県生まれ。日本大学国際関係学部卒業。中国・雲南民族学院とイタリア・ペルージャ外国人大学に語学留学後、現在は中部イタリア・マルケ州モントットーネ村で翻訳業。おもな訳書にエレナ・フェッランテ『ナポリの物語』シリーズ、パオロ・ジョルダーノ『素数たちの孤独』、ファビオ・ジェーダ『海にはワニがいる』(すべて早川書房)などがある。HP iidaryosuke.com。

中嶋浩郎 (ナカジマヒロオ)

長野県松本市生まれ。東京大学教育学部卒業。フィレンツェ大学留学。フィレンツェ大学講師を経て現在広島市在住。翻訳家。著書に『フィレンツェ、職人通り』(NTT出版)、『図説 メディチ家』(河出書房新社)など。訳書に『ルネサンスの画家ポントルモの日記』(白水社)、ステファノ・ベンニ『聖女チェレステ団の悪童』(集英社)、ジュンパ・ラヒリ『べつの言葉で』、『わたしのいるところ』(ともに新潮社)などがある。

越前貴美子 (コシマエキミコ)

東京外国語大学博士後期課程修了。現代イタリア文学研究者。イタリア語非常勤講師。イタリア学会会員。訳書にアレッシア・ガッゾーラ『法医学教室のアリーチェ-残酷な偶然』(西村書店)、共著に『イタリア文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房)、共訳に『ユリイカ 特集 アントニオ・タブッキ』(青土社)がある。

粒良麻央 (ツブラマオ)

東京都生まれ。東京外国語大学外国語学部欧米第二課程(イタリア語専攻)卒業後、同大学院総合国際学研究科博士前期課程修了(文学)。現在、上智大学ほか非常勤講師。翻訳に、「海にあずけたチケット」(共訳、『ユリイカ』2012年6月号)がある。