ホープレスリー

ホープ・レスリー

キャサリン・マリア・セジウィック 著
高野一良 訳

発売日 2019/12/17

判型 四六変判   ISBN 978-4-336-06559-9

ページ数 576 頁   Cコード 0097

定価 3,960円 (本体価格3,600円)

【内容紹介】

『モヒカン族の最後』と並ぶアメリカ歴史小説の傑作、待望の翻訳!

民族、人種を超えること、それがアメリカの原点だ。
今のアメリカに読ませたい。

深い絆でつながった白人とインディアンには、決して超えられない壁があった――
信仰に基づく理想的な社会の建設を目指して新天地に渡ったピューリタンたち。
白人とインディアン、開拓者たちと滅びゆきし者の運命は激しく交錯する。新世代の若者たちとインディアンの人種を超えた絆、ロマンス、そして復讐劇……。
マサチューセッツ湾植民地の初代総督ジョン・ウィンスロプ、ピクォート族の長のモノノットなど実在の人物、また白人とインディアンのピクォート戦争など実際の事件のなかで、インディアンの娘マガウィスカ、移民第二世代のホープ・レスリー、エヴェレル・フレッチャーと三人の魅力的な若者が苦悩し、生命を賭する。それがピューリタン社会に反していても……。
フェミニズムの文脈でも再評価著しい激動と葛藤の歴史ロマンス大河小説。

〈あらすじ〉
1630年マサチューセッツ湾植民地――。従妹アリスとの結婚を破談にされたウィリアム・フレッチャーは、失意のもと、別の女性と結婚し新大陸のボストンに渡る。
新たな人生を歩みだしたウィリアムはある日、一通の手紙を受け取る。アリスが亡くなり、二人の娘を彼に託したいというのだ。植民地到着後、姉は新たにホープという名を、妹はフェイスという名を与えられた。姉ホープ・レスリーはアリスの生き写しのような少女だった。
ひと足先にフレッチャー家に着いた妹フェイスを出迎えたのは、ウィリアムの長男エヴェレルら、フレッチャー家の面々と召使いとして使われていたインディアンの娘マガウィスカ。しかし、ピクォート族の娘である彼女は兄を白人に虐殺された過去をもっていた……。エヴェレルはマガウィスカの話に耳を傾け、人種を超えた信頼関係を築く。
いよいよホープがウィリアムと共にフレッチャー家にやって来るその日、事件は起こった――マガウィスカの父、ピクォート族の長モノノットがフレッチャー家を襲ったのだ。ウィリアムの妻子らは虐殺され、エヴェレルとフェイスは彼に連れていかれる……。
ホープとフェイス、エヴェレル、インディアンの娘マガウィスカの運命を、原始の大自然が広がるアメリカ大陸を舞台に、壮大なスケールで描いた圧巻の黎明期アメリカ歴史絵巻。

【著者紹介】

キャサリン・マリア・セジウィック (キャサリン マリアセジウィック)

Catharine Maria Sedgwick, 1789-1867
19世紀前半のアメリカを代表する女性作家。マサチューセッツ州ストックブリッジ出身。生涯独身を貫き、兄弟たちに支えられながら執筆活動を続けた。父親は合衆国下院の議長を務めたフェデラリストの有力な政治家セオドア・セジウィック。『ニューイングランド物語』(1822)を皮切りに6本の長篇小説を発表。本作『ホープ・レスリー』(1827)はその第3作目にあたる歴史小説。その他短篇小説や子供向けの読み物など、数多くの作品を世に出した。ワシントン・アーヴィング、ジェイムズ・フェニモア・クーパーなどと並んで、アメリカ文学草創期に活躍した作家の一人として知られている。

高野一良 (タカノカズヨシ)

1959年生まれ。首都大学東京教授。アメリカ文学専攻。主な著書に『アメリカン・フロンティアの原風景―西部劇・先住民・奴隷制・科学・宗教』(風濤社、2013)、『アメリカの嘆き―米文学史の中のピューリタニズム』(共編著、松柏社、1999)、『メルヴィル後期を読む』(共著、中央大学出版部、2008)、主な訳書にマーガレット・フラー『五大湖の夏』(未知谷、2011)、ブラック・ホーク『ブラック・ホークの自伝―あるアメリカン・インディアンの闘争の日々』(風濤社、2016)などがある。