オワリナキタンキュウ

終わりなき探求

パール・バック 著
戸田章子 訳

発売日 2019/10/04

判型 四六判   ISBN 978-4-336-06368-7

ページ数 392 頁   Cコード 0097

定価 2,970円 (本体価格2,700円)

【内容紹介】

ノーベル賞作家パール・バック未発表の遺作。
作品は著者が1973年に80歳で亡くなる直前に書かれ、長らく行方不明になっていた。40年後、その原稿は、終焉の地バーモント州から遠く離れたテキサス州の貸倉庫で発見された。
主人公の天才児、ランドルフ・コルファックスの成長物語。ランドルフは人生の真実と意味を追い求めて、ニューヨーク、イギリス、パリに旅する。DMZ(非武装地帯)の警備に就いた韓国では、人生を一変する出来事に遭遇――ついに愛に辿りつく……。

「私にとってこの物語は、もういちど母の書斎で炉辺に憩いながら、彼女の考えや意見を聞いているようなところがあった。作中の若い天才少年は母の自伝的な肖像ともとれるし、彼と関わり、教え導くさまざまな登場人物たちは、母だったら言いそうなことを語っている。――パール・バックの愛読者であれば多くの作品で親しんできた母の語り口を本書のなかに発見するだろう。そして、私同様、読者にも本書を読んで思わず目を見張るような思いを味わっていただけたらと思う。今後、新たな原稿が発掘されない限り、本書が母の遺作である」 エドガー・ウォルシュ(序文より)
                                            

【著者紹介】

パール・バック

中国の人々を同胞とし、その文化を紹介、中華人民共和国がいずれ世界の大国となると予見した先駆けの人。生後三か月で宣教師だった両親と中国に渡り42歳まで過ごす。コーネル大学より英語学で修士号を取得。1917年に農業経済学者と結婚、南京の北西の寒村に暮らした経験をもとに1931年に『大地』を著す。1932年にピューリッツア賞、1938年にノーベル文学賞を受賞。1934年、日中戦争の暗雲が垂れ込めると米国に永住帰国。以後、執筆活動に専念し、平和への発言、人種的差別待遇撤廃、社会的な貧困撲滅のための論陣を張った。1941年にアメリカ人、アジア人の相互理解を目的とする東西協会、1949年に国際的養子縁組斡旋機関ウェルカム・ハウス、1964年に養子を生国に留めて保護育成することを目的とするパール・バック財団を設立。1973年、米国バーモント州で80歳の生涯を閉じる。

戸田章子 (トダアキコ)

1963年東京に生まれる。上智大学外国語学部英語学科出身。米国Merck & Co., Inc. の日本法人MSD株式会社に同時通訳者として勤務した後、現在公益財団法人原田積善会に勤務。訳書 ローレンス・ヴァン・デル・ポスト『ある国にて――南アフリカ物語』(みすず書房、2015年)