江戸怪談文芸名作選 5
ショコクキダンシュウ
諸国奇談集
勝又基/木越俊介 校訂代表
木村迪子/野澤真樹/丸井貴史/森暁子/李 奕諄・クラレンス 校訂
発売日 2019/09/10
判型 四六判 ISBN 978-4-336-06039-6
ページ数 592 頁 Cコード 0395
定価 7,480円 (本体価格6,800円)
- シリーズ: 江戸怪談文芸名作選 (エドカイダンブンゲイメイサクセン)
- 十八世紀後半の怪しくも豊沃な江戸怪談の世界から、「おばけ好き」必見の、知られざる名作を紹介! 美麗函入、挿絵多数、半数以上が初翻刻。江戸の人々が畏れ愛した怪異の数々が二百年の時を超えて今よみがえる!
【内容紹介】
地域色豊かで多彩な怪談・奇談を一挙に集成!
いざ給へ、諸国奇遊の旅へ――!
江戸山手の都市怪談集『向燈賭話』『続向燈吐話』
虚実混淆の四方山怪奇譚『虚実雑談集』
珠玉の烈婦異聞伝『玉婦伝』
地方巷談物の白眉『閑栖劇話』
出色の群雄武勲奇談『四方義草』
全国津々浦々を舞台とした江戸怪談六篇を集成!
【シリーズ完結巻】
***作品別 各話目次***
『向燈賭話』/中村満重/元文四年(1739)刊 ※初翻刻
校訂=勝又基・木村迪子
<全20話> (※巻次・題の不整合は原本自体の乱れ)
上編巻之一
・仙洞へ茶器を献ぜらる
・金沢の妖女
・火車の談 付 下谷の火車 吉原の火車 番町の火車 四谷の火 富山の火車 火車の爪
・浜野の雷火
上編巻之二
・羽州温泉の刃傷
・鶏の毒飼
・油煙の白蛇
・死霊と偽り盗みをなす
向燈賭話上編巻之四
・子に愛でて罪を悔やむ
・岸の和田の仙
・猿の藤葛
・猿、鉄砲を盗み、質に置く
・老猪牛、狼を刺殺す
・厠の貂
向燈賭話上編巻之五
・父兄の讐を報ふ女子
・蝙蝠の怪
・亡霊、女の家に来る
・赤坂の蜘の囲
・犬を殺して怪を去る
『続向燈吐話』/中村満重/元文五年(1740)刊 ※初翻刻
校訂=勝又基・森暁子
<全102話>
続向燈吐話巻之一
・蕣花の内より骸出る事
・椿木の妖の事
・榎木の精化の事
・火中に死人出る事
・狼の恩報の事
・江戸見坂の怪談の事
・非人姥が怨念の事
・佐渡国老狸の事
・同国隠れ里の事
・木曽山中妖の事
続向灯吐話巻之二
・弓町亡霊の事
・薬げん坂幽霊の事
・石州浜田名作の瑞の事
・山鳥、雛のあだを報る事
・竜道淵の大蛇の事
・狐、人を救ふ事
・撞鐘半を盗む事
・怨霊門をたたく事
・甲州の雪女の事
・玉より尾を生ずる怪の事
・黒坊主の怪の事
続向燈吐話巻之三
・粟津の妖女の事
・八王子の酢屋の事
・四谷の見越入道の事
・松山の狸の事
・白金の足あとの事
・妖婦化生の事
・富士の根方の蝮蛇の事
・蜘蛛の怪異の事
・中の町大女の事
・狐侍に変する事
・闇坂の幽霊の事
・蝮蝎を焼殺す事
・巾着切横死の事
続向灯吐話巻之四
・貍寺の号の事
・御朱印婆の事
・常州山中の盗人の事
・金杉の小狐の事
・能登国邪神の事
続向燈吐話巻之の五
・日向国神軍の事
・備中国怪異の事
・雲中の人声の事
・湯の山の貂の事
・泥我右衛門強勇の事
・四谷の川童の事
・碓井の尻馬の事
・小田原の地震の事
・蝮蝎家を潰す事
・信悪が怨霊の事
続向燈吐話巻之六
・甲州宮内が乱行の事
・西応寺町化物やしきの事
・上野国の人横難の事
・車井密夫をあらわす事
・死人土中の声の事
続向燈吐話巻之七
・犬婦女をうばひし事
・衣桁にかけし小袖より手を出す事
・女ぬすびとの事
・盗人恩を報ゆる事
・墓所より火の玉飛ぶ事
続向燈吐話巻之八
・火の霊、塚上にたたかふ事
・厠の神を見て死する事
・厠の怪異の事
・狸おのれと腹を断事
・皁の木の妖の事
・産婦稲荷怪異の事
・赤坂火消屋敷怪異の事
・滝川家の狸の事
・上杉家の怪異の事
・狐、人を焼殺す事
・下総惣五の宮来由の事
・同国馬頭観音の事
・同国権現石来由の事
・清水より龍現する事
・土屋家のやしき龍出現の事
・亡霊きつねを頼む事
・猫の生霊人につく事
・衣裏より人魂出る事
続向燈吐話巻之九
・土中弥陀を掘り出す事
・芝居の盗人の事
・鱣鰻、人を呼ぶ事
・白衣の追剝の事
・姫路の城妖の事
・狸の廻国の事
・疱瘡の神と力をあらそふ事
・疱瘡神を窓より撲なげうつ事
・愛子の重病をいかり疱瘡神のたなを破ぶる事
・目前疱瘡の神を見る事
・長門国の人ろくろ首の事
・上総国の人胸裂事
・陸奥国の人手指のわづらひの事
・同国の人かげのわづらひの事
・若狭国の人、馬となる事
・丹波国傀儡の霊の事
・遠江国横須賀山中の妖怪の事
続向燈吐話巻之十
・駿河国藤枝山中件出る事
・相模国木場妖怪の事
・陸奥国さとりの事
・山ぶしかぶろ両坂来由の事
・西の久保町屋妖怪の事
・衾の内より大手を現す事
・女髪の怪異の事
・御影堂七兵衛が事
『虚実雑談集』/瑞竜軒恕翁/寛延二年(1749)刊 ※初翻刻
校訂=勝又基・李奕諄 クラレンス
<全102話>
虚実雑談集一
・菌(くさびら)に毒ある事
・土民、雉をたすくる事 附 猫の事
・あやしき獣の事 附 白蝶あゆみし事
・韮の園化ものの事
・蛇に呑のまれし人の事
・相州羽鳥怪異の事
・越後国銭拾ひし事
・川太郎の事
・松雲寺の小僧事
・鎌倉山内老女の事
・嫉妬ふかき女、角おひたる事
・国々水土かはり有る事
・夢により曼陀羅を取得たる事
・頻伽鳥に似たる鳥の事
・雲中に美女の姿見えし事
・酒を好みしものの事 附 今猩々の事
・鼠、蛇をころす事 附 奈良林妖怪の事
・義秀の社、朝鮮に有る事
虚実雑談集二
・京建仁寺町三郎右衛門事
・仙人を見たる事
・大崎村市兵衛 幷 いなり六兵衛事
・盤珪、覚彦の事
・あしき僧の事
・松島雲居和尚の事
・虎にとられしもの、助たすかる事
・天竺阿育王塔の事
・茶を翫ぶ事
・秋葉三尺坊 幷 痘疹の事
・若き女を尼にせし事
・死したる女、蘇生せし事
・無理なる座頭の事
・道円父子の事
・人丸赤人の社の事
・犬追ものの事
・相をよく見ること
・千葉武田の子孫の事
・地下の歌よみの事
虚実雑談集三
・越前福井福家の事
・肥前平戸の城主の事
・大地震津浪の事
・身持あしき人の事 附 情をしらぬ人の事
・大家の長臣を譏そしる事
・心得あしき侍の事
・江村専斎長命の事
・常念仏の事
・化身術の事
・伊藤父子学才の事
・淡州須本狸の事
・駿州大宮の事
・貞女孝子忠臣の事
・鰻を食ひて死せしこと
・壁書の事 並 一休戯書の事
・才賢くまします国の守かみの事
・狐をよけし事
・龍穴の事
虚実雑談集四
・豆州熱海怪異の事
・女の霊、人をころす事
・象の来りし事
・金沢文庫の事
・女の忠義有りし事
・琵琶をひきし勾当、広言の事
・座頭の事
・宝永山といひし事
・『鎌倉志』巻七佐竹屋敷事
・『鎌倉志』四阿仏卵塔跡の事
・老たる人益有る事
・河内富田林水分山の事
・鷹の礼の事
・男女離縁の事
・義仲碑、上総国に有る事
・摂州丹生の山田の事
・木食弾唱弾誓の事
・恩をしらざる猟師の事
・深草元政、身延に詣でし事
虚実雑談集五
・筑前家士の事
・武道名誉の事
・不仁なる人の事
・平家物語を引きし事 並 織田家の事
・秀吉の事附主となり、臣となる事
・道寸信玄の事
・地の利も人の和にしかざる事
・いやしきものの事
・無人島より帰りし人の事
・五畿七道、犬の煩ひし事
・常州笠間の城の事
・為相卿墓附冷泉殿歌の事
・烏丸殿歌の事
・也足軒玄旨歌道名誉の事
・長孝幽斎の歌の事
・奥州坪つぼの石ぶみの事
・楠正成墓の事
・家隆卿墓の事
・江戸飛鳥山碑の事
玉婦伝/飛花窓文母/安永四年(1775)刊 ※初翻刻
<全5話>
校訂=野澤真樹
一 轆轤首に婚を争ふ
二 泉下より母を養ふ
三 二女の情を傷(やぶ)る
四 二女失せて国を治む
五 毒蛇金龍を怖る
閑栖劇話/二流間主東随舎(栗原幸十郎)/天明三年(1783)刊 ※初翻刻
<全10話>
校訂=丸井貴史
閑栖劇話巻之一
・蛇松談話
・婬婦談話
閑栖劇話巻之二
・盗賊談話
・仇報談話
閑栖劇話巻之三
・災難談話
・幽魂談話
閑栖劇話巻之四
・佞婦談話
・慈計談話
閑栖劇話巻之五
・主害談話
・陰徳陽報
『四方義草』/前田其窓子/寛政五年(1793)刊 ※初翻刻
校訂=木越俊介
<全9話>
四方義草巻之一
・由比氏黄門為香卿を押す話
四方義草巻之二
・林氏の室義を厲(と)ぐ話
・不破万作艶情之話
四方義草巻之三
・梅の方鏡を投ぐる話
・熊人勝間が勇を伏する話
四方義草巻之四
・占部孫太鶯塚を築く話
・阿波龍祐奇難に遇ふ話
四方義草巻之五
・甘利左衛門信義を全ふする話
・原隼人塩尻の砦を争ふ話
【著者紹介】
勝又基 (カツマタモトイ)
一九七〇年静岡県生まれ。一九九三年金沢大学文学部卒業、二〇〇一年九州大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。明星大学日本文化学部専任講師、同准教授、ハーバード大学ライシャワー日本研究所客員研究員を経て、現在、明星大学人文学部教授。
日本の孝子伝、落語・講談、江戸時代の写本文化、江戸から現代にかけての昔話絵本などを専門とする。
著書に『落語・講談に見る「親孝行」』(NHK出版、二〇一三年)、『孝子をたずねる旅』(三弥井書店、二〇一五年)、『親孝行の江戸文化』(笠間書院、二〇一七年)など。
木越俊介 (キゴシシュンスケ)
一九七三年石川県生まれ。神戸大学博士課程修了。現在、国文学研究資料館准教授。専攻、日本近世文学。
江戸時代後期の小説・出版の研究を中心に、井原西鶴の小説の研究なども行う。
著書に『江戸大坂の出版流通と読本・人情本』(清文堂出版、二〇一三年)、『武家義理物語』(三弥井書店、二〇一八年、共編著)、論文に「『新斎夜語』第八話「嵯峨の隠士三光院殿を詰る」と『源氏物語』註釈」(『江戸の学問と文藝世界』森話社、二〇一八年二月)、「前期読本の有終――『四方義草』と『一閑人』」(『怪異を読む・書く』国書刊行会、二〇一八年)など。
木村迪子 (キムラミチコ)
一九八三年埼玉県生まれ。お茶の水女子大学大学院博士後期課程修了。博士(人文科学)。
現在、お茶の水女子大学基幹研究院研究員・国文学研究資料館客員研究員。
専攻、日本近世文学。
近世前期の仏書とその出版に関する研究を行う。
論文に「浅井了意作『戒殺物語・放生物語』について――中国浄土教思想との関係に注目して」(『国文学研究』第一八六輯、二〇一八年一〇月)、「浅井了意『密厳上人行状記』について︱典拠・執筆姿勢・影響」(『近世文藝』一〇一号、二〇一五年一月)など。
野澤真樹 (ノザワマキ)
一九八七年奈良県生まれ。京都大学大学院文学研究科国語学国文学専修博士後期課程修了。大谷大学文学部文学科任期制助教を経て、現在、ノートルダム清心女子大学文学部日本語日本文学科講師。
専攻、日本近世文学。
上田秋成初期浮世草子とその周辺の作品を中心に、近世後期の大坂出来の浮世草子、滑稽本等を研究する。論文に「『加古川本艸綱目』と『諸道聴耳世間狙』――モデル小説の法」(『國語國文』第八六巻五号、二〇一七年五月)、「寛政期「河太郎物」の原点――『諸道聴耳世間狙』に描かれた河太郎」(『日本文学研究ジャーナル』第七号、二〇一八年九月)など。共著に『上田秋成研究事典』(笠間書院、二〇一六年)。
丸井貴史 (マルイタカフミ)
一九八六年岐阜県生まれ。上智大学大学院博士後期課程修了。現在、就実大学人文科学部講師。専攻、日本近世文学。博士(文学)。
近世日本における白話小説受容を中心に研究。
著書に『白話小説の時代―日本近世中期文学の研究―』(汲古書院、二〇一九年)、『秀吉の虚像と実像』(笠間書院、二〇一六年、共著)、『上田秋成研究事典』(笠間書院、二〇一六年、共著)、論文に「「白蛇伝」変奏――断罪と救済のあいだ」(『怪異を読む・書く』国書刊行会、二〇一八年)など。
森暁子 (モリアキコ)
一九八〇年神奈川県生まれ。お茶の水女子大学大学院博士後期課程修了。現在、お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所特任アソシエイトフェロー。専攻、日本近世文学。
近世軍書を通して、戦国時代から近世へ至る時代の武士(兵学者)の著作と武家文化を中心に研究。
著書に『関ヶ原合戦を読む 慶長軍記翻刻・解説』(勉誠出版、二〇一九年、共著)、『秀吉の虚像と実像』(笠間書院、二〇一六年、共著)など。
李 奕諄・クラレンス (リー イジュン・クラレンス)
一九八四年シンガポール生まれ。コーネル大学博士課程修了。現在、コロラド大学ボルダー校助教授。専攻、近世文学、国学、思想史。
十八世紀思想史における読本や国学のほか、近世の医学史の研究に従事。
著書に『上田秋成研究事典』(’笠間書院、二〇一六年、共著)、論文に「医学と怪談――医学的言説に基づく怪異の源泉と奇疾の診断」(『怪異を読む・書く』国書刊行会、二〇一八年)など。