短篇小説の快楽

サイゴニカラスガヤッテクル

最後に鴉がやってくる

イタロ・カルヴィーノ 著
関口英子 訳

発売日 2018/03

判型 四六変型判   ISBN 978-4-336-04843-1

ページ数 336 頁   Cコード 0097

定価 2,640円 (本体価格2,400円)

シリーズ: 短篇小説の快楽 (タンペンショウセツノカイラク)
お気に入りの作家の短篇を毎晩一篇ずつ読む愉しみ。たくみな語り口に時を忘れて没頭する悦び。――読書の真の快楽は短篇にあり。20世紀文学を代表する名匠の初期短篇から本邦初紹介作家の知られざる傑作まで、すべて新訳・日本オリジナル編集でおくる作家別短篇集シリーズ!

【内容紹介】

死にゆく者はあらゆる種類の鳥が飛ぶのを見るだろう――
自身のパルチザン体験や故郷の生活風景を描いた
〈文学の魔術師〉カルヴィーノの輝かしき原点となる
第一短篇集、待望の刊行!

森に現れた少年は射撃の腕をかわれてパルチザン部隊と行動をともにする。やがて、遭遇した敵の兵士に対して少年の銃が狙いを定めたのは……緊張感漂う表題作をはじめ、カルヴィーノ自身のパルチザン体験を元に描いたレジスタンスの物語、少年期をすごした故郷の風景を反映した農民や子供たちの生活スケッチ、戦後の都会を舞台にしたコミカルなピカレスクロマン、軽妙な語り口の風刺的寓話など全23篇を収録。現代イタリア文学を代表する〈文学の魔術師〉が、その若き日々にあふれでる創作意欲を自由かつ繊細に結晶化した、瑞々しい傑作揃いの初期短篇コレクション! シリーズ〈短篇小説の快楽〉全5巻完結

【著者紹介】

イタロ・カルヴィーノ (イタロカルヴィーノ)

1923年キューバ生まれ。両親とともにイタリアに戻り、トリノ大学農学部に入学。43年、反ファシズム運動に参加、パルチザンとなる。47年、その体験を元に長篇『くもの巣の小道』を発表、ネオ・リアリズモ文学の傑作と称される。その前後から雑誌・機関誌に短篇を執筆し、49年短篇集『最後に鴉がやってくる』を刊行。エイナウディ社で編集に携わりつつ作品を発表、一作ごとに主題と方法を変えながら現代イタリア文学の最前線に立ち続ける。主な長篇に『まっぷたつの子爵』(52年)『木のぼり男爵』(57年)『不在の騎士』(59年)『見えない都市』(72年)『冬の夜ひとりの旅人が』(79年)などがある。85年没。

関口英子 (セキグチエイコ)

埼玉県生まれ。大阪外国語大学イタリア語学科卒業。イタリア文学翻訳家。おもな訳書に、イタロ・カルヴィーノ『マルコヴァルドさんの四季』(岩波少年文庫)、プリーモ・レーヴィ『天使の蝶』(光文社古典新訳文庫)、カルミネ・アバーテ『風の丘』(新潮社)、ロベルト・サヴィアーノ『コカイン ゼロゼロゼロ』(河出書房新社)などがある。ルイジ・ピランデッロ『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』(光文社古典新訳文庫)で、第一回須賀敦子翻訳賞受賞。