スワガク
諏訪学
山本ひろ子 編著
挽地康彦/坂井弘紀/原直正/田中基/小林公明/折井克比古/宮嶋隆輔 著
発売日 2018/04/05
判型 A5判 ISBN 978-4-336-06254-3
ページ数 548 頁 Cコード 0039
定価 3,960円 (本体価格3,600円)
【内容紹介】
記紀とは異なる国譲り神話の伝承、在地の神である洩矢神(モレヤ神)、千鹿頭神(チカト神)、ソソウ神、その陰に見え隠れする天白、他界を放浪する甲賀三郎譚、そして日本民俗学史上最大の謎である神、ミシャグジ――。これら異貌の神々への信仰、タケミナカタの子孫と伝わる大祝、ミシャグジの祭祀を独占的につかさどる守矢家、伝承にのみその名を残し中世の闇に消えた風の祝など、独自の文化が脈々とうけつがれる土地、諏訪。「神話学」「物語学」「宗教学」「民俗学」「文化人類学」「芸能史学」「歴史学」「社会学」「考古学」といった、諸分野の研究者が脱領域的に結集し、悠久の縄文時代から近代までの時間の広がりの中に信仰の源流をさぐり、視座を三信遠からはるかユーラシアにまで広げた宗教芸能研究、さらには縄文図像学を援用し、その極めて特異な信仰・文化体系を明らかにする。
【著者紹介】
山本ひろ子 (ヤマモトヒロコ)
1946 年生。早稲田大学第一文学部史学科中退。日本宗教思想史専攻。私塾「成城寺小屋講座」を主宰。和光大学表現学部名誉教授。主な著書に『変成譜―中世神仏習合の世界』(春秋社)、『大荒神頌』(岩波書店)、『中世神話』(岩波新書)、『異神―中世日本の秘教的世界』(ちくま学芸文庫)、編著に『祭礼―神と人の饗宴』(平凡社)、『民俗と仮面の深層へ―乾武俊選集』(国書刊行会)など。
挽地康彦 (ヒキチヤスヒコ)
和光大学現代人間学部准教授。専攻は社会学、移民研究、文化研究。共著に『九州という思想』(花書院)、『基礎ゼミ 社会学』(世界思想社)、論文に「経済の再魔術化―オイコノミア、エントロピー、共愉の倫理―」(『和光大学現代人間学部紀要』7)などがある。
坂井弘紀 (サカイヒロキ)
和光大学表現学部教授。専攻は、中央ユーラシア文化史、テュルク口承文芸研究。著書に『中央アジアの英雄叙事詩』(東洋書店)、共著に『テュルクを知るための61 章』(明石書店)、訳書に『ウラル・バトゥル』、『アルパムス・バトゥル』(以上、平凡社東洋文庫)などがある。
原直正 (ハラナオマサ)
1947 年、長野県諏訪市生まれ。武井正弘講師の「諏訪研究会」、山本ひろ子主宰の「成城寺小屋講座」に参加し、現在、諏訪の信仰史、信仰思想、史学、考古学、民俗学等を研究する「スワニミズム」の会長を務める。著書に『龍蛇神』(人間社 樹林社叢書)。
田中基 (タナカモトイ)
1941 年、山口県生まれ。人類学・民俗= 民族学・考古学季刊誌「どるめん」を編集。「古部族研究会」の同人と共に古諏訪祭政体について研究するかたわら、「縄文造形研究会」では縄文土器図像の神話文脈への変換を模索。著書に『縄文のメドゥーサ』(現代書館)など。「スワニミズム」顧問。
小林公明 (コバヤシキミアキ)
1945年、長野県生まれ。井戸尻考古館に勤務した。著書に『富士見町史 上巻』(共著)、『縄文人の時代』(共著 新泉社)。
折井克比古 (オリイカツヒコ)
編集者(樹林舎、人間社)として、樹林舎叢書『龍蛇神―諏訪大明神の中世的展開』(原直正著)、人間社文庫・日本の古層シリーズ『天白紀行 増補改訂版』(山田宗睦著)、『古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究』『古諏訪の祭祀と氏族』『諏訪信仰の発生と展開』(いずれも古部族研究会編)、『神殺し・縄文』(水谷勇夫著)の復刊などを担当。スワニミズム会員。
宮嶋隆輔 (ミヤジマリュウスケ)
1990 年、茨城県生まれ。和光大学卒業。成城寺小屋講座で中世芸能史を担当し、「能」以前の猿楽である〈翁〉や〈立合〉などを研究。主要論文に「翁語りのドラマツルギー―〈語りの翁〉から〈舞の翁〉へ」、「三信遠の立合猿楽―懐山おくなり「鞠のかがり」を中心に」など。編著に『民俗と仮面の深層へ―乾武俊選集』(国書刊行会)。