ジライヤゴウケツモノガタリ
児雷也豪傑譚
全二巻
高田衛 監修
服部仁/佐藤至子 編・校訂
発売日 2015/07/25
判型 菊判 ISBN 978-4-336-05923-9
ページ数 1,326 頁 Cコード 0093
定価 63,800円 (本体価格58,000円)
【内容紹介】
謀反により滅亡した肥後の豪族尾形氏の遺児・周馬弘行は、家臣の働きで信濃に逃れ、太郎として成長、ある晩、雷獣を捕えたことから雷太郎の異名をとる。その後、太郎は妙香山中で蝦蟇の精霊仙素道人から妖術を授かり、義賊・児雷也を名乗り、黒姫山に山塞を構え、妖術を駆使して、尾方家再興を志す。児雷也の前には、大蛇から生を享けた宿敵大蛇丸が現れ、尾方氏の血をひく怪力の美女綱手とともに、児雷也(蝦蟇)・大蛇丸(蛇)・綱手(蛞蝓)の三すくみの戦いが繰り広げられる。
いっぽう、鎌倉管領足利持氏打倒を図る執権犬懸禅秀は、持氏の伯父満隆、甲斐の豪族浦冨士輝景と共謀、さらに大蛇丸とも手を結び、謀反の旗を揚げる。禅秀謀反の報に接した児雷也は、管領足利持氏の元に馳せ参じ、禅秀討伐の策謀をめぐらす。信濃更科家、越後月影家、駿河今川家をも巻き込んで火蓋が切られた戦いの行方は? 児雷也と大蛇丸の宿命の対決の結末ははたして?
歌舞伎や映画、講談、浮世絵からマンガに至るまで、さまざまな媒体に登場し、また大きな影響を与え続ける、蝦蟇の妖術の使い手にして永遠の「ヒーロー」児雷也の活躍を、複雑かつ怪奇に絡み合う筋立てと、遠大かつ雄渾なスケールのなかに描きだした、江戸期合巻中の最高峰が、原本の全挿絵とともについによみがえる。京極夏彦氏、延広真治氏推薦。
【著者紹介】
高田衛 (タカダマモル)
1930年生まれ。早稲田大学大学院修士課程、東京都立大学大学院博士課程修了。東京都立大学名誉教授。専攻、日本近世文学。著書に、『女と蛇』(筑摩書房)、『新編 江戸の悪霊祓い師』、『新編 江戸幻想文学誌』、『完本 八犬伝の世界』(以上ちくま学芸文庫)、『お岩と伊右衛門 「四谷怪談」の深層』(洋泉社)、『春雨物語論』(岩波書店)、編・校訂書に、『江戸怪談集』(上・中・下、岩波文庫)などがある。
服部仁 (ハットリヒトシ)
1950年愛知県生まれ。学習院大学大学院修士課程修了。博士(文学)。現在、同朋大学教授。専攻、日本近世文学・浮世絵。著書に、『曲亭馬琴の文学域』(若草書房、1997年)、編著に、『夢想兵衛胡蝶物語』(和泉書院、1997年)などがある。
佐藤至子 (サトウユキコ)
1972年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在、日本大学文理学部教授。専攻、日本近世文学。著書に、『江戸の絵入小説 合巻の世界』(ぺりかん社)、『山東京伝』(ミネルヴァ書房)などがある。