ウンコウセックツ

雲岡石窟 第3期(全4巻9冊)

岡村秀典 監修
京都大学人文科学研究所/中国社会科学院考古研究所 編著

発売日 2017/09/10

判型 B4変形判   ISBN 978-4-336-05695-5

Cコード 3371

定価 308,000円 (本体価格280,000円)

【内容紹介】

龍門と敦煌に並ぶ中国三大石窟の1つで、2001年にユネスコの世界遺産に登録された雲岡石窟。その諸相を初めて包括的に調査した京都大学人文科学研究所による世界的に有名な調査報告書(非売品)を復刻。全ての写真を最新のデジタル処理によって補正し、第3期には未公開の図版や最新の論考による補巻を加えた、まさに決定版。

第3期(新編集版)の特徴

●新編の四巻では、『雲岡石窟』に収録されなかった写真・拓本約一二〇〇点を厳選し、すべての石窟について新たに解説を加える。また、日中両国の研究者による最新の研究論文を掲載する。
●原報告の刊行後、雲岡石窟をめぐって、日中両国はもとより、欧米においても多くの研究が積み重ねられてきた。なかでも北京大学の宿白教授が、みずから発見した「大金西京武州山重修大石窟寺碑」にもとづいて提起した雲岡石窟の新しい編年は重要である。いま中国では宿白説が全面的に受け入れられる一方、日本では研究者ごとに学説が分かれているのが現状である。今回、新中国における考古学的調査と一〇年以上にわたる日中共同研究の成果をふまえ、研究の現状を総括し、今後の展望を明らかにする。
●雲岡石窟では一九二九~一九三〇年に軍閥が美術商と結託して彫刻の一部を盗掘し、一九三八年に水野清一らが調査したときには、すでに頭部の失われた仏像が少なくなかった。このため、水野らは仏像の破壊前に撮影された古い写真の収集と日本に流出した仏頭の追跡に努めた。今回、京都帝国大学教授(美術史学)であった澤村專太郎が一九二三年に撮影した大型ガラス乾板の写真約八〇点を初めて公開する。また、一九二〇年ごろ写真家の山本明・岩田秀則・田中俊逸らが撮影した写真と照合することによって、日本に流出した仏頭の原位置をつきとめる。
●いま京都大学人文科学研究所に保管している雲岡石窟関係の拓本は、七八四枚を数える。北魏代の文様や造像銘の拓本はほとんど報告されたが、仏伝図や造像の拓本は報告されなかったため、今回の図版では、その拓本を写真と並べて掲載した。また、第七窟前室に置かれていた明・嘉靖四十三年(一五六四)の「重修雲岡堡記」や清・順治初年(一六四四)の「游雲岡石佛寺和成韻」など、雲岡石窟に関係する明清時代の石刻拓本も初めて公開する。
●調査最終年に作成された実測図は、翌年の敗戦時に北京に留置され、『雲岡石窟』刊行後の一九五七年、中国科学院の郭沫若院長より返還された。未報告であったその第一・第二・第四窟の実測図を第一七巻に初めて公表する。

【著者紹介】

岡村秀典 (オカムラヒデノリ)

1957年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程から京都大学文学部助手、九州大学文学部助教授、京都大学人文科学研究所助教授を経て、現在、同教授。文学博士。中国考古学を専攻。主な単著に『中国文明 農業と礼制の考古学』(京都大学学術出版会、2008年)、『夏王朝 中国文明の原像』(講談社学術文庫、2007年)、『中国古代王権と祭祀』(学生社、2005年)、『三角縁神獣鏡の時代』(吉川弘文館、1999年)、主な編著に『シルクロード発掘70年―雲岡石窟からガンダーラまで』(臨川書店、2008年)、『雲岡石窟』遺物篇(朋友書店、2006年)、『国家形成の比較研究』(学生社、2005年)、『世界美術大全集 東洋編第1巻 先史・殷・周』(小学館、2000年)などがある。

京都大学人文科学研究所 (キョウトダイガクジンブンカガクケンキュウジョ)

中国社会科学院考古研究所 (チュウゴクシャカイカガクインコウコケンキュウジョ)