カクレタハナ

隠れた花

パール・バック 著
小林政子 訳

発売日 2014/02/25

判型 四六判   ISBN 978-4-336-05776-1

ページ数 312 頁   Cコード 0097

定価 2,310円 (本体価格2,100円)

【内容紹介】

 ノーベル文学賞作家パール・バックの日本未刊小説。アメリカ人将校との愛に生きた日本女性の数奇な運命。愛、偏見、差別、心にうごめく欲望や葛藤、人物描写。時代が変わっても普遍のテーマが魂を揺さぶる。バックの日本観。
 連合国軍占領下の日本(1945年9月2日~1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効まで)で巡り会ったアメリカ軍将校と日本人女性がめぐり逢う。主人公は周囲の反対を押し切って結婚し渡米したが、アメリカでは白人と非白人との結婚を認めない法律が厳然としてあり、社会の偏見も強く、夫の両親、とくに母親に拒絶される。二人は周囲に受け入れられないまま愛は破局へと突き進む。主人公はかつて父親がアメリカの偏見に打ち負かされたと同じ経験を味わう。主人公はいわゆる混血児を身ごもるが、夫には妊娠を隠し続け、黙って家を出る・・・・・・。
 

【著者紹介】

パール・バック

中国の人々を同胞とし、その文化を紹介、中華人民共和国がいずれ世界の大国となると予見した先駆けの人。生後三か月で宣教師だった両親と中国に渡り42歳まで過ごす。コーネル大学より英語学で修士号を取得。1917年に農業経済学者と結婚、南京の北西の寒村に暮らした経験をもとに1931年に『大地』を著す。1932年にピューリッツア賞、1938年にノーベル文学賞を受賞。1934年、日中戦争の暗雲が垂れ込めると米国に永住帰国。以後、執筆活動に専念し、平和への発言、人種的差別待遇撤廃、社会的な貧困撲滅のための論陣を張った。1941年にアメリカ人、アジア人の相互理解を目的とする東西協会、1949年に国際的養子縁組斡旋機関ウェルカム・ハウス、1964年に養子を生国に留めて保護育成することを目的とするパール・バック財団を設立。1973年、米国バーモント州で80歳の生涯を閉じる。

小林政子 (コバヤシマサコ)

明治学院大学英文学科中退、外務省入省。リスボン大学留学後、1988年に外務省を早期退職して翻訳を志す。
主な訳書に、『私の見た日本人』(パール・バック著、2013年)、『壊血病』(2014年)、『最後のヴァイキング』(2017年)共にスティーブン・R・バウン著、『現代の死に方』(シェイマス・オウマハニー著、2018年)、『2084年報告書』(ジェームズ・ローレンス・パウエル著、2022年)(以上 国書刊行会より出版)。『ギリシャ人ピュテアスの大航海』(バリー・カンリフ著、2023年 青土社)などがある。