未来の文学
ダールグレン
ダールグレン Ⅰ
サミュエル・R・ディレイニー 著
大久保譲 訳
発売日 2011/06/21
判型 四六変型判 ISBN 978-4-336-04741-0
ページ数 480 頁 Cコード 0397
定価 3,520円 (本体価格3,200円)
- シリーズ: 未来の文学 (ミライノブンガク)
- 失われたSFを求めて――60~70年代の幻の傑作SF、その中でも本邦初紹介の作品を中心に厳選したSFファン待望の夢のコレクション。「新たな読者の視線を浴びるとき、幻の傑作たちはもはや幻ではなくなり、真の〈未来の文学〉として生まれ変わるだろう」(若島正)
【内容紹介】
国書刊行会SF<未来の文学>シリーズ、第Ⅲ期刊行開始!
「20世紀SFの金字塔」「SF界の『重力の虹』」「ジャンルを超えたマジックリアリズムの傑作」と称されながらも、今まで謎に包まれていた伝説的超大作がついに登場!
序文:ウィリアム・ギブスン 解説:巽孝之
都市ベローナに何が起きたのか――多くの人々が逃げ出し、廃墟となった世界を跋扈する異形の集団。二つの月。永遠に続く夜と霧。毎日ランダムに変化する新聞の日付。そこに現れた青年は、自分の名前も街を訪れた目的も思い出せない。やがて<キッド>とよばれる彼は男女を問わず愛を交わし、詩を書きながら、迷宮都市をさまよいつづける……奔放なイマジネーションが織りなす架空の都市空間を舞台に、性と暴力の魅惑を鮮烈に謳い上げ、人種・ジェンダーのカテゴリーを侵犯していく強靱なフィクションの力。過剰にして凶暴な文体、緻密にして錯乱した構成、ジョイスに比すべき大胆な言語実験を駆使した、天才ディレイニーの代表作にしてアメリカSF最大の問題作。
【著者紹介】
サミュエル・R・ディレイニー (サミュエルアールディレイニー)
1942年ニューヨーク生まれ。ニューヨーク市立大学を中退後、漁船乗りやフォークシンガーとして世界を放浪、62年『アプターの宝石』でデビュー。該博な知識と詩的文体、多層的語りを駆使してメタファーに満ちた神話的作品を多数発表、アメリカン・ニューウェーブの旗手として活躍。長編に『バベル-17』(66年、ネヴュラ賞受賞)『ノヴァ』など。75年に超大作『ダールグレン』を刊行、賛否両論を巻き起こしながらSFとしては異例の大ベストセラーとなる。
大久保譲 (オオクボユズル)
1969年生まれ。著書に『知の教科書 批評理論』(共著、講談社)、訳書にデイヴィッド・マドセン『グノーシスの薔薇』(角川書店)、シオドア・スタージョン『ヴィーナス・プラスX』(国書刊行会)など。