スタニスワフ・レム・コレクション 3

テンノコエコソウネツ

天の声・枯草熱

スタニスワフ・レム 著
沼野充義/深見弾/吉上昭三 訳

発売日 2005/09/01

判型 四六変型判   ISBN 978-4-336-04503-4

ページ数 409 頁   Cコード 0397

定価 3,080円 (本体価格2,800円)

シリーズ: スタニスワフ・レム・コレクション
人間と地球外存在との遭遇をテーマに世界のSFの新たな地平を切り開いたポーランドの作家スタニスワフ・レム。サイバネティクス、量子力学から、進化論や言語学などの最先端の理論をふまえて構想され、SFのみならず、現代文学のあり方を模索しながら数々の傑作を世に問うてきた作家の代表作を集成し、その全貌に迫るファン待望の作品集。

【内容紹介】

偶然受信された宇宙からのメッセージは何を意味するのか。学者たちの論議をたどりながら認識の不可能性を問う『天の声』と、ナポリで起きた連続怪死事件をめぐる確率論的ミステリー『枯草熱』。

【著者紹介】

スタニスワフ・レム (スタニスワフレム)

1921 年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『宇宙創世記ロボットの旅』など、多くのSF 作品を発表し、SF 作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70 年には現代SF の全2 冊の研究書『SF と未来学』を完成。70 年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『泰平ヨンの現場検証』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006 年に死去。

沼野充義 (ヌマノミツヨシ)

1954 年東京都生まれ。東京大学卒、ハーバード大学スラヴ語学文学科博士課程に学ぶ。ワルシャワ大学講師、東京大学教授を経て、現在名古屋外国語大学教授、東京大学名誉教授。著書に『徹夜の塊』三部作(『亡命文学論』『ユートピア文学論』『世界文学論』、作品社)、『W文学の世紀へ』(五柳書院)、『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』(講談社)、編著書に『東欧怪談集』『ロシア怪談集』(河出文庫)、『世界は文学でできている 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義』全5巻(光文社)、訳書にスタニスワフ・レム『ソラリス』(国書刊行会およびハヤカワ文庫SF)、ヴィスワヴァ・シンボルスカ『終わりと始まり』(未知谷)、クラシツキ『ミコワイ・ドシフャトチンスキの冒険』(岩波書店)、ウラジーミル・ナボコフ『賜物』(新潮社)、『新訳 チェーホフ短篇集』(集英社)などがある。

深見弾 (フカミダン)

1936年、岐阜県生まれ。早稲田大学卒業。ソビエト・東欧SF翻訳家。特にストルガツキー兄弟やレムの作品を精力的に翻訳・紹介した。おもな訳書に、レム『宇宙飛行士ピルクス物語』(早川書房)、『泰平ヨンの航星日記』『ロボット物語』(ハヤカワ文庫)、『すばらしきレムの世界1・2』(講談社文庫)、ストルガツキー兄弟『収容所惑星』(早川書房)、『ストーカー』(ハヤカワ文庫)、『そろそろ登れカタツムリ』(群像社)、『ロシア・ソビエトSF傑作集』(創元推理文庫)などがある。1992年死去。

吉上昭三 (ヨシガミショウゾウ)

1928年、大阪生まれ。早稲田大学卒業。ポーランド文学専攻。東京大学教授。ポーランド文化研究誌『ポロニカ』主宰。ポーランドとの文化交流にも尽力した。おもな訳書に、レム『宇宙創世期ロボットの旅』(共訳、集英社)、『星からの帰還』(ハヤカワ文庫)、シェンキェヴィッチ『クオ・ヴァディス(上・下)』(福音館書店)、『世界SF全集9 エレンブルグ・チャペック』(共訳、早川書房)、共著に『ポーランド語の入門』(白水社)、共編著に『白水社ポーランド語辞典』などがある。1996年死去。