世界幻想文学大系 29

ムソウノヒミツ

夢想の秘密

J・B・キャベル 著
杉山洋子 訳

発売日 1979/11/01

判型 四六判   ISBN 978-4-336-02531-9

ページ数 324 頁   

定価 2,750円 (本体価格2,500円)

シリーズ: 世界幻想文学大系
近代日本文学界の私小説的、自然主義的風土の故に、久しく貶められてきた幻想の文学が、今甦る。“進歩”と“科学”の西欧の地下にひそむ“もうひとつの西欧”が生んだ目眩めくような驚異と幻想の物語、そして恐怖と戦慄の物語、解体してゆく自我、噴出する言語の暴力……。本大系の出現によって“もうひとつの西欧”の、異端にして激越なる言語と想像力はその全貌をあらわすであろう。造本=杉浦康平+鈴木一誌

【内容紹介】

【著者紹介】

J・B・キャベル (ジェイムズブランチキャベル)

アメリカの作家、系図作製者。一八七九年ヴァージニア州リッチモンドの名家に生まれる。幼少時から神話・伝説・聖書を耽読し、大学卒業後、新聞記者を経て作家となる。一九〇四年に長編第一作Eagle's Shadowを発表、本書は架空の王国ポアテムを舞台に二十三代九世紀にわたる一大ファンタジイ・シリーズ《マニュエル伝》全十八巻に発展した。その一冊『ジャーゲン』(一九一九)は「不道徳な内容」のため発禁事件を引き起こし、それが話題を呼んで大ベストセラーとなった。他の代表作に『夢想の秘密』(一九一七。邦訳国書刊行会)『土の人形』(一九二一。邦訳国書刊行会近刊)、『イヴのことを少し』(一九二七。邦訳国書刊行会近刊)など。一九二〇年代は「キャベル時代」とも呼ばれるほど批評界から高い評価を獲得、同時代アメリカ文学を代表する作家と目された。一九五八年に死去。その後一時忘れられた作家となったが、一九七〇年代にはリン・カーターやアーシュラ・K・ル=グウィンらの再評価もあり、SF・ファンタジイ作家への広範な影響が指摘されている。

杉山洋子 (スギヤマヨウコ)

一九三〇年、台北生れ。関西学院大学文学部卒。現在、同大学教授。専攻、英米文学。主要著訳書--『虹と花崗岩-ヴァージニア・ウルフ論』(英文)北星堂書店、一九七三年。『ファンタジーの系譜--妖精物語から夢想小説へ』中教出版、一九七九年。キャベル『夢想の秘密』国書刊行会、一九七九年。ダンセイニ『牧神の祝福』月刊ペン社、一九八一年。