著述家/書評家永田希
『ゴーストランド 幽霊のいるアメリカ史』
コリン・ディッキー 著 熊井ひろ美 訳
書物もいつか滅びますが、その仕方はひとの死に方とは異なります。死後に死体や幽霊が残るように、書物も遺されるでしょう。書物の時間の過ごし方は、死体や幽霊と同じ種類なのです。
『夜の舞・解毒草』(新しいマヤの文学)
イサアク・エサウ・カリージョ・カン/アナ・パトリシア・マルティネス・フチン 著 吉田栄人 訳
ひとは、自分の死のことを普段は考えずに暮らし、いつか死んでしまうだろうことを忘れているものです。死んでしまうかもしれないいつか、その瞬間のことを忘れてしまいがちだから、ひとは死について書いておこうとするのではないでしょうか。
『マルペルチュイ ジャン・レー/ジョン・フランダース怪奇幻想作品集』
ジャン・レー/ジョン・フランダース 著 岩本和子/井内千紗/白田由樹/原野葉子/松原冬二 訳
遺されたもの、(これから)遺されるもの、あるいは何かを遺すこと、これらは書物とよく馴染みます。馴染むというか、これらは書物と見分けがつかないくらい、ほとんど同じです。