立命館大学大学院教授/作家岸政彦
『キリング・アンド・ダイング』
エイドリアン・トミネ 著 長澤あかね 訳
『キリング・アンド・ダイング』は、穏やかで静かで、でもときどき泣かせる、人間のドラマだ。(……)三作品に共通しているのは、他者とどのようにして生きるか、という問題だと思う(ほとんどの文学作品がその問題を描いているのだが……)。一見すると穏やかな日常のなかにある、ちょっとした絶望のドラマ。(……)月並みな言い方になるが、それはどれも、私たち自身の物語なのである。
『女であるだけで』(新しいマヤの文学)
ソル・ケー・モオ 著 フェリペ・エルナンデス・デ・ラ・クルス 解説 吉田栄人 訳
(……)三作品に共通しているのは、他者とどのようにして生きるか、という問題だと思う(ほとんどの文学作品がその問題を描いているのだが……)。(……)先住民女性に対する壮絶な暴力のなかで、それでも希望を忘れない人びと。(……)月並みな言い方になるが、それはどれも、私たち自身の物語なのである。
『アドルフに告ぐ オリジナル版』
手塚治虫 著
そして『アドルフに告ぐ』。この作品を読んだのは高校生のときだったか。ユダヤ人とドイツ人に生まれたふたりのアドルフ少年が、やがて大人になり、時代に引き裂かれていく姿を重厚に描く。(……)戦争とファシズムのなかで敵同士になり、最後は殺し合うふたりの幼馴染の少年。月並みな言い方になるが、それはどれも、私たち自身の物語なのである。