画家山本タカト
『国芳妖怪百景』
歌川国芳 画 須永朝彦 文 悳俊彦 編・解説
画室を見渡すと国書刊行会の本が数冊、目に入ってくる。この中から三冊だけ選択するのは難しい。妙に草臥れている表紙カバーの本があるが、それは『国芳妖怪百景』。北斎、芳年、暁斎などもあるこのシリーズには絵を描く上でとてもお世話になった。浮世絵に強く刺激を受けている時期に、他の画集にはない艶消しの紙に印刷された色彩や線描が様々なイメージを喚起させた。
『死、欲望、人形 評伝ハンス・ベルメール』
ピーター・ウェブ/ロバート・ショート 著 相馬俊樹 訳
机のすぐ横には『死、欲望、人形 評伝ハンス・ベルメール』が置いてある。シュルリアリスト、ハンス・ベルメールもまた多大な影響を受けたアーチストであり、これまで少しばかりの画集や評論に接してきたが、ほとんどが重たい洋書である。傍らに置いて時々ページをめくってベルメールの世界に接することができる。和訳(相馬俊樹訳)で読めるのがうれしい。
《澁澤龍彦 泉鏡花セレクション》(全4巻)
泉鏡花 著 澁澤龍彦 編 山尾悠子 解説 小村雪岱 装丁
そして「澁澤龍彥 泉鏡花セレクションⅠ〜Ⅳ、龍蜂集・銀燭集・新柳集・雨談集」である。縁があり私も鏡花の『草迷宮』『天守物語』などの挿絵を描かせてもらったが、この4巻は小村雪岱の繊細な絵の装丁が唯々美しい。