各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

作家/翻訳家北原尚彦

『ク・リトル・リトル神話集』(ドラキュラ叢書5)

H・P・ラヴクラフト 他著 荒俣宏 編               

高校生の時に初めて買った国書刊行会の本がおそらく『ク・リトル・リトル神話集』。後の読書傾向に大きな影響を与えた一冊。学校の休み時間にコレを読んで(クラスの連中はこんな本知らないだろう)と悦に入っていたりもした。

『世界幻想作家事典』(一九八一年改訂版)

荒俣宏 著           

『世界幻想作家事典』は、「へええ、こんな作品があるんだ」と楽しく読んだだけでなく、後々自分の執筆活動に大いに役立たせて頂いた。書痴としては初版信奉のあるわたくしだが、こればかりは改訂版を買った。情報が多い方がいいからである。稀に載っていない作家を自分が見つけると「さすがの荒俣先生も、当時はコレを見逃していたか」とニヤリとする、悪い読者でもあります。

『上海のシャーロック・ホームズ』(ホームズ万国博覧会 中国篇)

樽本照雄 編訳                 

最後に、シャーロッキアンとして『上海のシャーロック・ホームズ』を。英米以外のホームズ・パロディ/パスティーシュを翻訳するという《ホームズ万国博覧会》叢書自体が凄いのだが、極めつけはこの一冊。まさか清朝末期に書かれたホームズ・パロディを日本語で読める日が来るとは思わなかった。国書刊行会の面目躍如な出版物だと思う。