各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

翻訳家中野善夫

『夢想の秘密』(世界幻想文学大系29)

ジェイムズ・ブランチ・キャベル 著 杉山洋子 訳               

中学生の頃、書店で《世界幻想文学大系》を眺めていつかこれを全部買って全部読みたいと溜め息をついたものだ。全部揃えたが、全部読むのにはあと三千年くらいかかりそうだ。当時の自分に、将来『夢想の秘密』と同じくマニュエル伝の一冊である『ジャーゲン』を訳して国書刊行会から出すといっても絶対に信じないだろう。いや、『夢想の秘密』が刊行されたのは高校生のときだが。

『リトル、ビッグ』(Ⅰ・Ⅱ)(文学の冒険)

ジョン・クロウリー 著 鈴木克昌 訳               

『リトル、ビッグ』について語るには四千字くらい必要なので省略し、三冊目として敢て最近読んだ本を挙げておく。昔を思い出すのもいいが、未来のことを考えるために。何億年か経って人類が滅んだ後、地球の陽だまりの果てに坐って国書刊行会の最新刊を手に取って読むつもりである。

『陽だまりの果て』

大濱普美子 著          

『リトル、ビッグ』について語るには四千字くらい必要なので省略し、三冊目として敢て最近読んだ本を挙げておく。昔を思い出すのもいいが、未来のことを考えるために。何億年か経って人類が滅んだ後、地球の陽だまりの果てに坐って国書刊行会の最新刊を手に取って読むつもりである。