翻訳文学を求める熱心な編集者に告げておく。
ピエール・マッコルランは、現代に復活させてしかるべき作家である。
マッコルランを出す勇気と機略のある編集者がいたら、
私はそのひとに敬意を表するだろう。
──澁澤龍彦──
《マッコルラン・コレクション》
全3冊
ピエール・マッコルラン著
四六判/上製/貼り箱入り
【第1回配本】
[幻想]
中村佳子・永田千奈訳
定価4620円
2021年10月
サンフランシスコの中国人土木業者から持ち込まれた不気味な笑い病の
パンデミックが全世界を滅亡させる......世界終末論的疫病小説『黄色い笑い』。
第一次大戦終結後の混乱をきわめたドイツを舞台に繰り広げられる邪悪な残酷
劇......『フランス幻想文学史』でマルセル・シュネデールがマッコルランの最高傑作と
絶賛した、マンドラゴラ幻想小説『悪意』。傑作長編小説2編を収録。ともに本邦初訳。
【以下続巻】
[探偵]
『北の橋の舞踏会/世界を駆けるヴィーナス』
太田浩一・平岡敦・永田千奈 訳
宇宙的空想ともいうべき予言の書『世界を駆けるヴィーナス』。
夜と海と砂丘の探偵小説『北の橋の舞踏会』。
推理小説の要素をそなえる長編2編に
澁澤龍彦が初期短篇「マドンナの真珠」で藍本にした幽霊船物語「薔薇王」を収録。
2022年7月刊
*
[夜の町]
『夜霧の河岸/真夜中の伝統』
昼間賢・渋谷豊 訳
マルセル・カネルの名画「霧の波止場」の原作としても名高い『夜霧の河岸』。
久生十蘭がその処女長編小説『金狼』で下敷きにした『真夜中の伝統』。
ほか全3編を収録。
【本シリーズの特色】
〈1〉澁澤龍彦をはじめ、アントナン・アルトー、レイモン・クノー、ボリス・ヴィアン、生田耕作らが
熱愛してやまなかった、20世紀フランスの小説家ピエール・マッコルランの傑作小説選集。
収録作のほとんどが本邦初訳。
〈2〉各巻には、マッコルラン研究家・昼間賢による詳細な解説を収録。
〈3〉各巻の装画には、マッコルランの親友ギュス・ボファが画くファンタステイックな絵を使用。
装丁・長田年伸。
〈著者略歴〉
ピエール・マッコルラン
Pierre MacOrlan
フランスの作家。1882年〜1970年。
第一次大戦前のモンマルトルでアポリネールやピカソら多くの芸術家たちと交わり、その後ヨーロッパ各地
や北アフリカを放浪する。ユーモア溢れるファンタスティックな作風で本国フランスでは幅広い人気を誇る。
1950年にはアカデミー・ゴンクールのメンバーに選ばれ、1966年にレジオン・ドヌール勲章を受ける。代表作
『夜霧の河岸』はマルセル・カネルの映画『霧の波止場』の原作として有名。