英国王室&日本皇室の御用達
笑いの巨匠、あのウッドハウスの新シリーズ登場!!
2018年10月、皇后美智子さま(当時)の「ジーヴスも2,3冊待機しています」ご発言で一大ブームがまきおこり、テレビのニュース番組や海外の報道でもとりあげられて、一躍日本でも超有名作家となった英国国民的大作家P・G・ウッドハウス。
92年の生涯で100冊近い作品を残したウッドハウスの傑作小説を、本邦未訳の長編を中心に紹介する新シリーズ。
〈「ウッドハウス名作選」刊行によせて〉
森村たまき(本シリーズ訳者)
ひさびさにウッドハウスの新訳をお手元にお届けできるはこびとなった。しかも最長最強傑作の誉れも高き『ボドキン家の強運』をご紹介できることが、私は本当にうれしいし誇らしい。また新訳でウッドハウスが読める時代がやってきた。「ウッドハウス名作選」というシリーズであるから、次がある。その次もある。ひょっとしてその次だってあるかもしれない。もっとウッドハウスを読んでいただきたい。この世の中をもっとウッドハウスで満たしたいという翻訳者の野望は膨らむばかりである。私ももっともっとウッドハウスが訳したい、
ウッドハウスは九二年の生涯に百冊近い著書を刊行した。天下国家数百年の大計に関わる思想の大体系を構想し、より善い社会を築きあげたいと意気込んだわけではなく、ひとえに面白い文章が書きたい、もっと面白い物語が作りたいという渇望に衝き動かされるままに次へ次へと書き続けたにちがいない。
おそらくウッドハウスというのは、読んでも読まなくてもいい、あってもなくてもどちらでもいいし天下国家の大計にはあまり影響のない、楽しいだけの作品群なのだろう。しかし、テンポのよい会話、不思議な言い回し、宝石のような美文を楽しみ、愛すべき登場人物たちが運命に翻弄され、絶望と歓喜の間を忙しく上がり下がりして堂々巡りを繰り返しながら展開するストーリーを笑って読み進める私たちは、そこここにキラリ、キラリと閃めき顕れる、登場人物たちの精神の美質とか、この人がこの人だからこの人が好きという真実の愛に、心揺さぶられてしまったりもしているのである。
本シリーズ二作めの『春どきのフレッド伯父さん』の主人公、フレッド伯父さんのモットーは、「できる時にはいつだって甘美と光明を振り撒く」である。皇太后美智子陛下は皇后生活最後のお誕生日のお言葉で、「ジーヴスも二、三冊待機しています」と明かされた。イギリス王太后エリザベス陛下は、お誕生日のプレゼントには「ウッドハウスの全作品がいただきたいわ」と語られた。
皇太后陛下も王太后陛下も、人々が笑顔であるように、その唇が笑みで飾られているようにと願ってくださったにちがいない。そしてその笑いは、人を傷つけることも貶めることもなく、明るい、甘美と光明で照らすような笑いであるようにと、願ってくださったにちがいない。
さあ、私たちはもっとウッドハウスが読める。ウッドハウスの甘美と光明のシャワーを全身で深呼吸して享受しよう。そして唇をウッドハウス仕様の、とびきりの笑みで飾ろう。
第1回配本(2021年6月)
『ボドキン家の強運』
百万長者のうえに容姿端麗、気立てもバツグンだけど、ちょっとおまぬけな青年紳士モンティ・ボドキン君が主人公。豪華客船を舞台に、ワニを飼うお騒がせの赤毛女優、偏執狂的客室乗務員、ベーゼル色の瞳を持つ女子ホッケー選手などなど、あいも変わらぬ変人奇人怪人たちが船上狭しと大活躍。大爆笑保証付き、永遠不滅の大名作。
第2回配本(2021年9月予定)
『春どきのフレッド伯父さん』
ウッドハウスの小説中、否、世界文学史上、もっともナイスで、ハチャメチャで、イカれたキャラの持ち主フレッド伯父さんが、あのブランディングズ城で大暴れ。英国ウッドハウス協会の「一番好きな短編」投票でも堂々の第一位を獲得した「ゆけゆけ、フレッド伯父さん」もあわせて収録。
第3回刊行(2022年1月予定)
『アーチー若気の至り』
舞台は第一次大戦終結後のニューヨーク。イートン校、オックスフィード大学出身、心やさしき青年紳士のアーチーは、大戦に従軍したのち、かれの一族に新大陸での成功を祈願されて米国ニューヨークに到着する。滞在の初日、アーチーはホテルで社主とひと揉めして相手を激怒させたが、向かった先のフロリダで恋におちて超スピード結婚。花嫁は、なんとそのホテル王の娘だった... ウッドハウス初期の傑作連作長編。
〈ウッドハウス讃〉
エリザベス陛下(英国女王母)
ウッドハウスの全作品が頂戴できますかしら?(公式贈答品ではなく、本当に欲しいものは何かと聞かれて)
トニー・ブレア(英国元首相)
私はウッドハウスをまだ一度も読んだことのない方々が羨ましくてならない。大量の未読ウッドハウス作品が自分の前に広がっているという眺望は、思うだに蠱惑的ではないか。
ヒレア・ベロック(作家)
ウッドハウスは、当代最高の作家である。彼は現存する最高の英国作家にして、われわれ作家たちの頭領である。
「タイムズ」紙
笑いの古典、万人から巨匠と認められたコミックの大天才。
〈著者略歴〉
P・G・ウッドハウス
1881-1975.英国の国民的大作家。「比類なきジーヴス」ほか。 生涯お笑い一筋に100を超える小説を書き続け、黎明期のブロードウェーミュージカルやハリウッド無声映画にも脚本や原作を提供した。
〈訳者略歴〉
森村たまき
1964年生まれ。翻訳家。訳書に、≪ウッドハウス・コレクション≫(全14冊)、≪ウッドハウス・スペシャル≫(全3冊)、≪よりぬきウッドハウス≫(全2冊)ほか。著書に『ジーヴスの世界』。