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ムリョクナテンシタチ

無力な天使たち

発売日 2012/07/23

判型 四六判   ISBN 978-4-336-05364-0

ページ数 326 頁   Cコード 0097

定価 2,750円 (本体価格2,500円)

内容紹介

古川日出男氏推薦!

フランスSF界からデビューし、その後ジャンルに納まらず、実験的な作風で知られるヴォロディーヌ。政治性と想像力、リアリズムと幻想性の同居である「ポスト・エキゾティシズム」を唱える作家の代表作。襤褸切れから生み出された「救世主」、荒廃した世界で資本主義を復活させたヴィル・シャイドマンが、生みの親である不死の老婆達に語った、四十九の断章からなる、結末を欠いた奇妙な物語。

「世界をホログラフィーの感性でもって捉えられる人間だけが「語る資格」を持つ。そして、アントワーヌ・ヴォロディーヌにはそれがある。この『無力な天使たち』が証しているのは、二、三のこの世界の真実で、たとえば人類が破滅しても音楽は鳴る(のかもしれない)と読者の私たちは確実に体感するだろう。また、わずかなストーリーの断片群から、人類は破滅に瀕するときに「語る人類」を誕生させようとするかもなと直観もするだろう。しかし、それはすでに人ではない。人類が作りだしたような存在は、もはや人類ではない。それでも小説はここに存在して、これはホログラムとしての本なのだ。
 この本は二度読むか、あるいは七度読まなければならない」

著者紹介

アントワーヌ・ヴォロディーヌ (アントワーヌ・ヴォロディーヌ)

一九五〇年、フランスのシャロン=シュール=ソーヌに生まれる。学業を修めた後、一五年間ロシア語教師として働く。八五年『ジョリアン・ミュルグラーヴ比較伝』でデビューし、八七年から専業作家となる。初期はSF的な作風だったが、九〇年代以降はみずからの文学実践を「ポスト=エグゾティシズム」と命名し、この架空の文学カテゴリーに属する作品を複数のペンネームを使い分けながら発表し続けている。作風はカフカやマジック・リアリズムの影響が色濃く、政治性と幻想性がないまぜになった独特な世界を創造している。邦訳されたものに『アルト・ソロ』(白水社)がある

門間広明 (モンマヒロアキ)

一九七六年宮城県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士課程満期退学。現在早稲田大学非常勤講師。

山本純 (ヤマモトジュン)

一九八三年奈良県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻修士課程修了。現在電機メーカー勤務。

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